銀行カードローンを事業資金に使うとペナルティがある?

カードローンを知る・学ぶ

銀行カードローンの資金使途(お金の使い途)は「原則自由*ただし事業資金にはご利用頂けません」といったように、事業資金だけは不可という場合がほとんどです。

では「なぜ事業資金はダメなのか?」「具体的にどんなペナルティがあるのか?」など、今回はカードローンと事業資金の関係について、銀行員の私が過去の例を用いながらお話ししていきます。

なお「ビジネスカードローン」「事業資金カードローン」といった名称はすべて一般的な事業資金借入です。

ここでいうカードローンはあくまで個人が利用するカードローンです。

カードローンを利用中、利用を検討している人、特に会社経営者や個人事業主の人は参考にしてください。

銀行カードローンを事業資金に使うとペナルティがある?

今回は私が銀行員として実際に対応した例に沿って説明していきたいと思います。

ある個人事業主のケース
事業資金借入の返済金が準備できなかった個人事業主が、自分名義の銀行カードローンで借りて返済の穴埋めをした。

本人から正直に言われたので私が調査することになり、カードローンを借りて事業資金融資を返済したことが確認できた。

事業資金に使ったという理由(資金使途違反)でカードローンは期限の利益を喪失してしまい、全額返済しなければならなくなり、最後は事業資金も返済できず破綻してしまった。

以下の説明は、このケースをイメージしながら読み進めてください。

(※資金使途違反、期限の利益喪失については詳細後述します。)

銀行カードローンを事業資金に使ってはいけない3つの理由

銀行カードローンを事業資金に使ってはいけない理由は、次のとおり3つあります。

銀行カードローンを事業資金に使ってはいけない3つの理由
  • 資金使途が違うから~資金使途違反
  • カードローンは「対象」事業資金は「例外」~総量規制
  • カードローンは「消費性」事業資金は「事業性」~銀行管理上の話

理由その1.資金使途が違うから~資金使途違反

資金使途とは文字通りお金の使いみちのことです。

事業資金(運転資金借入や、その返済金)、住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなど借入にも多くの種類があり、これらはすべて「借りたお金を何に使うのか?」で分けられています。

この「何に使うのか?」の部分が資金使途であり、その違いにより融資の審査、金利や返済期間といった条件などそれぞれ違っているのです。

ですから、借りたお金を最初の目的以外に使うことはできません。これは契約書にも記載されています。

例えば自宅を建てるための住宅ローンで高級車を買ったり、リフォーム資金として借りたお金で複数のカードローンをおまとめしたり(こちらは今問題になっているケース、もちろんダメです!)これらはすべて資金使途違反となります。

融資とは顧客と銀行とのあいだで交わす契約です。目的以外に融資金を使うのは約束を破ること、つまり銀行との契約違反になりますので、最悪では即座に一括返済しなければならない場合もあります。

もちろんこれはカードローンにも言えることです。

銀行以外のカードローンはどうなのか?

消費者金融系のカードローンなどでは、資金使途は事業資金不可ではないところもあります。

例えばある消費者金融系カードローンでは資金使途について「資金使途は自由(ただし生計費に限る。 個人事業主の場合は生計費と事業費)」とあります。

生計費(自分の買い物、光熱費から遊興費までのいわゆる生活費全般)と事業費(備品購入や事務所の光熱費、交通費など)が個人事業主に認められるのは、個人の場合にはお金をキッチリ分けることが難しいからです。

しかしこの場合でも、いわゆる事業資金(運転資金、設備資金)とは書いてありませんので注意が必要です。(詳細については必ず個別に確認して下さい)

理由その2.カードローンは対象、事業資金は例外~総量規制

貸金業法の「総量規制」により、原則年収の3分の1を超える借入はできません。カードローンもこの規制対象になります。(総量規制については詳細後述します)

「総量規制」はカードローンやキャッシングなどの記事によく登場する言葉ですので、ご存じの人も多いと思います。

一方、事業資金借入は総量規制の「例外貸付」になります。

例外貸付とは「これを借りることにより総量規制を超えてしまう場合でも、例外的に認められる借入のこと。ただしその借入額は総量規制の対象になるので、そのあとはお金を借りることができない」といった意味になります。

法律により区分されているので、総量規制対象のカードローンを借りて、総量規制の例外貸付である事業資金に使ってはいけないのです。

もし使ってしまっても逮捕されるようなことはありませんが、事実が判明して是正が必要と銀行が判断すれば、全額返済を求められる可能性もあります。

総量規制とは?

総量規制とは、「消費者保護のために、年収の3分の1を超える貸付を原則禁止する」という意味です。

貸金業者(銀行や消費者金融など)が、その人の返済能力を考えずに貸し付けることを禁じるものです。

貸金業法という法律で決められており、金融業者は規制を守っているので、結果的に年収の3分の1以上の借入ができないというのが現状です。

(住宅ローンや自動車ローンは特別扱いの総量規制対象外で、これを「除外貸付」と言います)

例えばカードローンを新しく申込むときは、「ご利用中のすべてのお借入を記入してください」というように借入利用額の記入欄があり、ここに申込者が自分で記入します。

もちろん審査過程でも個人信用情報などで借入額の調査はしますが、正確な金額までは把握できません。原則はあくまで自己申告ベースです。

自己申告をもとにするので、申込者がウソをついたり借入を隠したりすれば、本当は年収の3分の1以上なのに、カードローンを借りることができる可能性もあります。

総量規制はあくまで「貸金業者が貸してはいけない」であり、「借りてはいけない」ではありません。

ウソの申込により結果的に総量規制を超えてカードローンを貸したとしても、貸金業者が罰せられることはありません。

もちろん虚偽の申込みが判明すれば、全額返済などのペナルティがありますので注意してください。

理由その3.カードローンは「消費性」事業資金は「事業性」~銀行管理上の話

銀行では融資を「消費性資金」と「事業性資金」に分けて管理しています。

消費性資金とは住宅ローンや自動車購入など個人消費に関連する融資のことで、カードローンもこの消費性資金です。

一方、事業性資金は法人、個人事業主に融資する運転資金、設備資金といった事業のために使う融資のことです。

事業資金では決算内容や資産背景からその会社が融資金を返済できる可能性を数値化します。

これを債務者格付といい、この格付に応じた貸倒れリスク(会社が破綻して融資金が返ってこないリスク)から算出した「貸倒引当金」を計上します。

消費性ローンも種類に応じて貸倒引当金を計上しますが、事業資金に比べるとリスクが低いという理由から引当金も少なくなっています。

この貸倒引当金は銀行決算の利益から差し引かれるものなので、仮にカードローンを事業資金に使ったことが判明すると、金額にもよりますが銀行に決算にも影響を与えかねない、重大な違反になってしまうかも知れないのです。

銀行カードローンを事業資金に使うといくつも問題が起きる

ここまでは「使ってはいけません」でしたが、ここからは「使うとヤバい」という点について説明します。

銀行カードローンを事業資金に使うといくつも問題が起きます。主なものは次の3つです。

銀行カードローンを事業資金に使うと起きる3つの問題
  • 税務上指摘される可能性がある~特に個人事業主の場合
  • 銀行から信用を失う~事業経営と人物両面で
  • カードローンだけでは済まされない~期限の利益喪失

問題その1.税務上指摘される可能性がある~特に個人事業主の場合

銀行で事業資金融資を受けた場合、支払利息は確定申告の時に経費として認めてもらえます。

しかしカードローンを使った場合には、これが認められない可能性があります。

カードローンは本来生計費として使うものなので、事業資金と認められるか不明ですし、その利息も経費として認められないかも知れません。

また、これは備品や設備などにも言えることで、税務署から「この備品を買うお金はどこから出したんですか?」と指摘されるかも知れません。

問題その2.銀行から信用を失う~事業経営と人物両面で

ここまで説明したように、カードローンを事業資金に使うのは銀行との契約違反です。ですから、これが判明すると銀行からは間違いなく信用を失います。

銀行と銀行員はとにかく「ウソ」を嫌いますので、取引には大きなマイナスになります。

まず、事業が上手くいっていないのを自ら銀行に証明したことになります。また、これまで提出した決算書などの書類や、これまで銀行員と交わした会話などの信憑性も問われかねません。

一度銀行で「信用できない人」もっと言えば「うそつき」というレッテルを貼られたら、そのレッテルを剥がすのは容易なことではありません。

これは銀行から見たイメージ面ですが、信用を失うと現実にはもっと大変なことになる場合もあります。

問題その3.カードローンだけでは済まされない~期限の利益喪失

返済期間5年の借入は、5年で返済すれば良い、当たり前ですがこのことを「期限の利益」といいます。

ただしこれには「銀行との契約を守っている場合に限る」という前提条件があります。

手形の不渡りや自己破産、税金滞納による預金口座の差し押えなどの場合は、期限の利益は即座に喪失され全額返済を求められます(期限の利益の当然喪失)。

一方で、返済が何ヶ月も延滞しているなど、債権保全上、銀行が必要と認めた場合には、次の返済日までなど一定の猶予期限を決めたうえで、その期限までに支払がなければ期限の利益を喪失すると内容証明郵便で請求をします(期限の利益請求喪失)。

カードローンを事業資金に使うと、この「債権保全上、銀行が必要と認めた場合」に該当してしまう可能性があります(債権保全とは、融資金が返済してもらえそうにないので必要な手段を取るといった意味です)。

「事業が資金不足になっている。しかも事業資金では借りることができず、内緒でカードローンに手を出した」酷な表現ですが銀行はこのように考えます。

そして過去の事業資金融資も返済できないと判断すると、銀行は融資を回収しようとします。

顧客から集めた預金をもとに融資している銀行は、その融資金が回収不能となる可能性があれば迅速に手を打たなくてはならないからです。

カードローンを事業資金に使ったために、事業資金融資まで返さなくてはいけなくなるかも知れない!このことはぜひ覚えておいてください。

まとめ

ここまでの説明で「じゃあ、どうすればいいんだ?」という人もいるかも知れません。

ただ一つ言えるのは、事業資金の問題は事業資金で解決を図るべき、ということです。

銀行以外の融資を探す、銀行に返済猶予(リスケ)を相談するなどいくつか考えられます。

ですが、いろいろな意味で禁じられているのですから、やはりカードローンを事業資金に使ってはいけません。

「実はこんな裏ワザが」といったものはありません。あっても、それはいけないことなので銀行員という立場上、教えられません。やはり「ダメなモノはダメ」なのです。

最後に参考として「カードローンを事業資金に使ったことが銀行にどうやったらバレないか?」という問いがあったらこうお答えします。

「言わなければバレないかも知れませんが、絶対バレないという保証もありません。調べれば必ずわかります」