カードローンで借りたお金で投資してもいいの?

カードローンを知る・学ぶ

カードローンの使い途は原則自由ですが、かといって何に使ってもいいというわけではありません。

「借りたお金で投資していいのか?」今回はこのテーマを中心に銀行員として考える問題点や注意、またカードローンと投資の関係で「優越的地位の濫用」「抱き合わせ販売」という問題についてもわかりやすくお話します。

カードローンで借りたお金で投資してもいいの?

カードローンで借りたお金で投資してもいいの?という問いかけには2つの意味があります。

1つ目は「カードローンの資金使途として許されるのか?」と言う点、そして2つ目は「投資の原資として許されるのか?」というものです。

この点について、今回は銀行員として実際に見た投資に関する実例で説明していきます。

<実例>
私の担当していた会社で投資が好きな社長さんがいました。会社経営には真面目に取り組んでいたので、自由に使えるお金があまり無かったそうです。数少ない楽しみである投資も、カードローンで借りたお金を投資資金にしていました。会社の業績が良いときに、銀行から頼まれて作った社長個人のカードローン限度額は1,000万円近くありました。社長さんとは定期的に会っていましたが、カードローンを使って投資していることや、その投資結果について楽しそうに話す社長さんに、銀行員として「やめたほうがいいのでは?」と言ったことはありましたが、あまり強く言うわけにもいかず、実のところかなり心配していました。やがて、投資が大きく失敗して資金が回らなくなり始めました(あとでわかったことですが株の信用取引や商品先物などの、経験や知識が求められるリスキーな分野に投資していたそうです)。カードローンは延滞を繰り返すようになり、またこれと同じタイミングで会社の業績も悪化して、最終的には個人も会社も破綻してしまいました。

資金使途では?

カードローンの資金使途は「事業資金以外は原則自由」というのが一般的です。

したがって投資に使ってもいい、というより投資に使ってはいけないという決まりはない、というのが正しい表現です。

ただし、それはあくまで資金使途の面に限ったことです。問題になるのは「そもそも許されるのか?」あるいは「借金までして投資してもいいのか?」という点です。

借金までして投資してもいいのか?

言うまでもなく、その答えは「ダメ」です。

道義的に善し悪しを語るつもりはありませんが、ここで言う「ダメ」とはおすすめできないという意味です。

投資とは「余資(よし)」、つまり生活費や事業以外の個人的に使える自由なお金を使うのが大原則です。

借金をすれば利息が発生しますので、投資するにはその利息以上のリターンが得られなければなりません。

また借金したら返済しなければなりませんが、投資に失敗したらつぎ込んだお金が回収できないだけでなく、借金の返済資金もなくなってしまうかもしれません。

銀行員として多くの人を見てきた経験から、借金までして投資して成功した人は見たことがありません。

精神的にもいわば「背水の陣」で始めた投資が上手くいくとは思えませんし、実際そういった人達は全員失敗しました。

カードローンを投資に使った場合のペナルティーはあるのか?

資金使途については上記のとおり違反とはならないので特にペナルティーはありません。

ただし、カードローンを使って投資をする場合には、別の観点でトラブルが生じる可能性があります。こちらについては次項で説明します。

投資の原資としては?

原資というのは投資をするお金のもと、言い換えればお金の出所のことです。

投資は自分の意志で行なうものなので、どうやって金を工面してもいいじゃないか?と思うかも知れません。しかし必ずしもそうとは限らない場合があるのです。

「投資する原資は借金したお金ではありません」と宣誓させられる場合もある?

銀行や証券会社などで金融商品を購入した人なら経験があると思いますが、申込み書類は何枚も記入しなければならず、またいくつも注意点を聞いて了解したことを答えるなど非常に手間のかかるものです。

すべてはリスクを伴う金融商品を販売するうえで省くことはできない手続きなのです。これは顧客保護の観点ともうひとつ、販売する側である金融機関が自らの身を守るという目的もあります。

一度宣誓した以上「実は借金でした」は通用しない

上記した顧客保護の観点と、金融機関が自分の身を守るためについてもう少し詳しく説明します。

例えばアンケートなどの名目で「投資は余資で、借金したものではない」と宣誓させられる書類もあります。

リスク商品では損をすることもあるので、借金したお金を原資にさせてはいけないことを、金融機関側で自主規制しています。したがって申込時に「借金ではない」と自己申告しないと契約できないものもあるのです。

「投資に使うお金は借金ではありません」と宣誓すると、あくまで宣誓した内容が事実となり取り消すことは絶対にできません。

ですから「実は借金を原資にしていました」といっても、銀行からは「あなたが宣誓したことだけが事実です」と言われるだけで一切救済措置はありません。

このように、投資の失敗や借金との関係性について、宣誓させることで銀行に責任が生じない仕組みになっているのです。

例にあげたカードローンの借金で投資をした社長さんも銀行では一切救済措置をしませんでした。

投資の損失は自己責任、そしてカードローンは投資との因果関係を認めず、単に使い途自由な借財と見なされたからです。

カードローンと投資、優越的地位の濫用について

ここでカードローン以外の融資ではどうなのか?投資との関係について見てみましょう。

個人年金など一部の金融商品は、融資取引している顧客には販売できないことになっています。

銀行により対応は違いますが、原則として事業資金の融資を受けている個人事業主とその家族、あるいは会社の社長と従業員に対しても販売できないことになっています。これが保険業界などでいう「弊害防止措置」というものです。

また、住宅ローンを申込んで相談中の人や事業資金融資の審査を受けている人など、融資の審査あるいは申込中の顧客にはやはり販売できないことになっており、これは「タイミング規制」と呼ばれています。

カードローンの場合は「投資に使ってはいけない」という点がポイントでしたが、住宅ローンや事業資金融資の場合は、取引をしているという事実だけでその銀行では原則投資ができないというより、銀行が投資を販売できないようになっていると言えるのです。

これらの規制に共通しているのは、顧客がペナルティーを受けるのではなく違反したら銀行が罰せられるという点で、それは「優越的地位の濫用」に該当するからなのです。

優越的地位の濫用とは?

優越的地位の濫用とは、お金を貸す側の立場を悪用して、銀行などが他の取引を強要することです。

端的な例としては「カードローンを作らなければアパートは融資しない」「一時払い個人年金を契約すれば、融資審査を通してやる」といった具合です。

その中で一番やってはいけないことは「カードローンを使わせて、そのお金で投資をさせる」ことです。

事業資金取引がある経営者などはターゲットにされやすく、カードローンを使わせることで融資残高を増やし、利息ももらえて、しかも金融商品など投資を購入させることで手数料も儲けることができるのです。得するのは銀行、損するのはお客様だけという構図です。

もちろんこれらが問題になるのは、カードローンを借りているその銀行で金融商品を取引した場合であり、まったく関係のない証券会社などで投資する場合には問題になりません。ただし、現在ではどの金融機関がどこと提携しているのか?わかりにくくなっていますので注意が必要です。

優越的地位の濫用の判断は微妙~抱き合わせ販売について

銀行と顧客の「持ちつ持たれつの関係」と「優越的地位の濫用」を区別するのはじつのところ困難です。ある意味紙一重と言ってもいいでしょう。

例えば事業資金融資のある会社の社長にカードローンを作ってもらう(作らせる)のは良くあることです。

また住宅ローンでも、申込みした人にカードローンをセットで販売(銀行員側はこれを抱き合わせとは言わずセット販売と表現します)することも普通におこなわれていることです。

もちろんこの時に銀行員は「作らないと貸さない」などとは絶対に言いません。しかしながら融資を申込んでいる人が心の中で「もし断わったら審査で不利になるかも?」と考えていることは銀行員にも当然伝わっていますので、この部分の判断は実に微妙なものになります。

最近の悪質な事例(デート商法や、投資用不動産で不正融資をした銀行におけるカードローンの悪質な抱き合わせ販売など)を見てもわかるように、銀行として決してやってはいけないはずの優越的地位の濫用が現実にはいくつも起こっています。

特に抱き合わせでカードローンを無理矢理作らせた場合は、必要無いのに借入をさせられるケースがほとんどです。

これは、カードローンを作らせただけでは銀行にはあまり意味が無いからです。

あくまでもカードローンを使わせて(無理矢理借金させて)借入残高を増やし、利息をもらうことにこそ意味があり、だから抱き合わせをするのです。

銀行員から本当に優越的地位を濫用されたらどうすればいい?

こうしたことが自分の身に起きた場合、まずはその銀行の本社やお客様相談室といった部署へ相談するのがいいでしょう。

往々にしてこうした不祥事は銀行員個人、あるいは支店単位で行なわれている場合が多いので、本社などに直接被害を訴えるのが最適でしょう。

しかし、中には銀行組織全体で違反行為をしている場合もあります。このように銀行自体が信じられない場合は金融庁などの監督官庁に相談(相談窓口があります)をするか、「金融ADR」という銀行とのトラブルについて相談、解決への支援をしてくれる公的制度もありますので覚えておいてください。

自分が間違ったことをしていなければ泣き寝入りをせず声を上げてください。必ず助けは現れますから。

カードローンの借金で投資してはいけないもう一つの理由

「カードローンで借りたお金で投資してはいけない」これにはもう一つ理由があります。それをまとめとしてお話します。

それは、カードローンを使って投資したことがわかると、その人に対する銀行員の見方が劇的に変わると言うことです。

実のところ、銀行員は投資が嫌いです。いえ、正確には「投資が嫌いになるよう教育されている」と言ったほうがいいでしょう。もちろんこれに矛盾を感じる人もいるかもしれません。

手数料収入を得るために銀行は投資信託や外貨預金など投資を積極的に販売しているのですから、違和感を覚えても当然だと思います。

しかし、銀行員の思考は「元本が保証されていなくてはダメ」「リスクのある商品は悪」と本気で考えているのです。

顧客には投資を販売しておきながら自分は安全志向、実際にはこうした矛盾を抱えるのが銀行員なのです。

このように投資が嫌いな銀行員がカードローンを使って投資する人を見たら、まずこの人とは付き合いたくないと考えるでしょう。

なぜなら借金をして元本保証の無い投資にお金をつぎ込んでいる人は、銀行員が最も嫌うタイプの人間だからです。その人に対する銀行員の信用はゼロのなると言っていいでしょう。

そして、ここからが重要なところです。

銀行員から信用されなくなると事業資金融資、あるいは住宅ローンでもマイナスに影響してきます。もちろん普通に返済を続けて、何事も無ければ問題はありません。問題になるのは、返済が遅れたなど異変が起きたときです。

銀行員はその人を信用していませんので「やはり投資が原因でダメになった」などと結論づけられ、最悪の場合返済を減らしてもらう「リスケ」など救済をしてもらえなくなる可能性もあるのです。

綺麗事と言われればそれまでですが、銀行と融資取引をするときには「借金しての投資は銀行員が嫌う」ということをぜひ覚えておいてください。

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。