ファクタリングとは?仕組みと審査を簡単にわかりやすく説明

ファクタリング

ファクタリングとは、近年事業者の間で注目されている事業資金に係る資金調達方法のひとつであり、新しいファクタリング会社の誕生も相まって、どんどん利用者の数を伸ばしています。

常に安定した事業資金の確保に頭を悩ましている事業者なら、できることならファクタリングについてしっかり学び、ぜひ自社の資金調達の選択肢に組み入れたいものですね。

しかし外部からの資金調達には当然審査がありますし、新しい方法なのできちんと理解した上で利用しないと後で後悔することになりかねません。

ファクタリングの審査を法人や個人事業主が受ける時、どのような点に注意し、また対策したらいいのでしょうか?

そこでこの記事では、まずファクタリングの基礎的な知識や仕組みについて図解を使いながらわかりやすく説明します。

そして事業者がファクタリングの審査を受ける上での注意点や、審査に通るための対策についても詳しく解説します。

目次

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、一言でいうと「自社の持つ売掛金を、回収期日を待たずファクタリング会社に売却(譲渡)して早めに資金調達する方法」のことです。

この章では、ファクタリングとは何か?について概説します。

ファクタリングの歴史は古い

国際的な視点ではファクタリングの歴史は意外と古いです。

ファクタリングは14世紀のイギリスで生まれ、1900年代にアメリカで大きく発達したといわれています。

また現在のアメリカでもファクタリングは主要な資金調達方法のひとつであり盛んに利用されています。

ファクタリングが日本に入ってきたのは1970年代、筆者が金融機関で働き始めた頃です。

当初はメガバンクの子会社がファクタリング会社を作り、業務の一環としてサービス提供していましたが利用者数はそれほど伸びませんでした。

また当時は手形が事業者間の決済手段として広く使われており、資金調達も手形割引や銀行融資が中心だったと記憶しています。

この流れが大きく変わったのは1990年代後半から2000年に入った頃。

バブルの崩壊により企業倒産が相次ぎ、業者間の決済に利用されていた手形も不渡りが発生、それが引き金となってさらに連鎖倒産が起きました。

こういう経験がトラウマとなって手形利用が激減、現在では当時の流通量の一割以下に。

一方で売掛金の活用をいう政府の後押しもあって、再び売掛金を利用したファクタリングが注目されるようになってきました。

そしてネットの発達と相まって新しいファクタリング会社がどんどん生まれている現状です。

ファクタリングに利用する売掛金とは

売掛金とは事業者が取引先に商品の納入販売、サービス提供をした後、その対価の支払いを一定期間猶予する時に使う勘定のことをいいます。

いわば一種の延べ払いのこと。

事業者間では昔から決済において掛売りという支払い慣行があり、手形と共に広く利用されてきました。

これは延べ払いを承認した側からいうと売掛金、反対に延べ払いを承認してもらった側からいうと買掛金となります。

ファクタリングとは売掛債権を売却(譲渡)すること

ファクタリングとは、その売掛金を債権として売却(譲渡)することをいい、具体的には売掛債権を持った事業者がその売掛金の回収期日を待たずファクタリング会社に売却し、その売却代金を持って早めに資金調達します。

一方でファクタリング会社は、申し込まれた売掛金について買い取りするかどうか審査を行い、買い取り可能と判断すると、その売掛金から利用手数料を差し引いて残金を申込者の銀行口座に振込します。

またこの段階で売掛債権の所有権(請求権)はファクタリング会社に移ることになります。

そして売掛金の回収期日が来ると、ファクタリング会社は売掛先から資金を回収して取引が完了します。

これが一連のファクタリング取引の流れです。

ファクタリングの法的根拠は?

ところで金融取引のひとつであるファクタリングの法的根拠は何でしょうか?

結論から先に述べれば、ファクタリングは債権の売買とされており、現在のところ特にこれを規制する法律はありません。

また業者に指導監督を行う行政官庁もありません。

融資等の金融取引なら、銀行法、貸金業法、あるいは出資法や利息制限法等の規制がありますが、それもないため、ファクタリング会社への参入障壁も低く、どんどん新しいファクタリング会社が作られています。

ファクタリングの金融分野における取引シェアが高まるにつれて、今後業界を規制する法律が作られる可能性はありますが、今のところ自由競争の下で自社判断により営業活動ができる実態です。

ファクタリングと他の資金調達方法の違い

この章ではファクタリングと他の資金調達方法の違いを主に説明します。

事業者がその違いを知ることで利用上の混乱を防ぐことができます。

ファクタリングと手形割引の違い

ファクタリングと手形割引の違いは、言い換えれば売掛金の売買と手形の売買の違いです。

ただし手形割引の場合は諸説あり、手形の売買(譲渡)であるという説と手形(有価証券)を担保とした融資という説の2つがあります。

また銀行等の金融機関では手形割引を融資業務として取扱いしており、その割引料についても利息制限法の影響を受けています。

一方でファクタリングは現状規制している法律がないので、利用手数料(手形割引における割引料)についても利息制限法等の規制を受けず、ファクタリング会社が自由に設定できるようになっています。

ファクタリングとビジネスローンの違い

ファクタリングとビジネスローンの違いは、売掛債権の売買と融資の違いです。

ビジネスローンは、手形割引同様、融資形態のひとつであるため、ローンを規制する各種法律があり金融業者も運用に一定の制限を受けています。

一方でファクタリングはその規制がないため、すべての運用基準をファクタリング会社が独自に決めて商売できるのが実態です。

ビジネスローンとは?審査の対策と注意点

ファクタリングとABL(動産担保融資)の違い

ファクタリングのように、売掛金を活用した資金調達方法の一つとしてABLの存在が挙げられます。

ABLとは「Asset Based Lending」の略で、動産担保融資と訳すことができます。

具体的には事業者が商売で有している在庫商品(棚卸資産)や売掛債権等を担保として資金を借りる仕組みです。

2005年に動産譲渡担保登記制度が創設されたことに伴い、これらの資産が融資の担保に使えるようになったので、仮に事業者に担保用の不動産がなくても他の資産を使って資金調達ができるようになりました。

ただしABLは融資なので、利息制限法等の制限を受けて貸出金利は安いものの、金融機関の審査に時間が掛かるため、急ぎの資金調達には間に合わないデメリットがあります。

一方でファクタリングは、現状法律の制限もなく、シンプルに売掛金を買い取りできるかどうかの審査が中心なので、即効性があり資金を急ぐ利用者には利便性の高い資金調達方法となっています。

  • ファクタリング→売掛債権売買(譲渡)
  • ABL→売掛債権担保融資

ファクタリングに信用保証協会や日本公庫のような公的機関はない

ファクタリング会社には現状、規制する法律や監督官庁がないことはすでに述べました。

一方で融資における信用保証協会や日本公庫のような公的機関はあるのでしょうか?

結論からいえばそのような公的機関はありません。

信用保証協会のように、融資において中小企業・個人事業主の信用力を保証行為でカバーする機関はなく、ファクタリングの審査はすべてその売掛先の信用力と売掛金の回収確度を背景に行われます。※

またファクタリング会社自体、現在すべて民間会社運営によるものであり、買い取りが公的機関によって行われる日本政策金融公庫のような存在もありません。

※ファクタリングでは、信用保証協会のような公的機関はありませんが、後述するようにファクタリング会社自体、保証ファクタリングの形で保証行為を行うことがあります。

ファクタリングが利用できるのは法人と自営業(個人事業主)

現状でファクタリングが利用できるのは、法人でも自営業(個人事業主)でも可能です。

ただしその事業者が商売において、売却(譲渡)可能な売掛金を持っていることが利用上の最低条件となります。

そこでこの章では、売掛金の有無に関わらず、自営業(個人事業主)や法人経営者が個人的に利用できる資金調達方法について説明します。

個人事業主の借入目的が個人利用ならカードローンがおすすめ

自営業(個人事業主)の方で、もし借入目的が個人利用ならカードローンがおすすめです。

業界の垣根を超えて個人向けに発行されているカードローンがたくさんあります。

ただしカードローンを利用するにはその審査を通ることが必要であり、また業者によって審査の難易度も違います。

また個人向けカードローンの審査において、自営業(個人事業主)の評価が給与所得者の評価より必ずしも高いといえない事情もあります。

それだけに、もし自営業や個人事業主がカードローンを借りるとすると、審査の面からはまず消費者金融、次に銀行カードローンを選べば通りやすいでしょう。

法人経営者も個人利用が目的ならカードローンが利用できる

法人を代表している経営者も、個人事業主と同じく事業者のひとりです。

その法人経営者が個人利用を目的にローンを借りるとすると、フリーローンや目的別ローンも借りられますが、当然カードローンも利用できます。

カードローンの場合、利用限度額内で繰り返し利用でき、また資金使途自由で使えるのでとても便利です。

ファクタリングの基本的な仕組みと2つの契約タイプ

ファクタリングは売掛金の売買(譲渡)と説明しましたが、この章ではその仕組みをさらに分かりやすく図解で解説します。

ファクタリングの基本的な取引方法には2つの契約タイプがあります。

3社間契約ファクタリングと2社間契約ファクタリングです。

現在、日本では総ファクタリング契約数のうち、じつに8割以上が2社間契約ファクタリングで、残りの2割が3社間契約ファクタリングを利用しています。

3社間契約ファクタリングとは

3社間契約ファクタリングを取引の流れに沿ってチャート図に示すと以下のようなものになります。

3社間契約ファクタリングの仕組みをわかりやすく図解で説明

3社間契約ファクタリングの当事者は、売掛金を売却する利用者、買い取りするファクタリング会社、そして売掛金の決済義務を負っている売掛先企業の3社です。

この契約においては、利用者は売掛金売却に当たり売掛先企業にその旨を通知し、売掛先より売却の承諾を得なければなりません。

また同時にファクタリング会社からも売掛先に対し承諾を求めます。

なぜなら売掛先から承諾を得て、売掛金回収代金の振込口座を利用者の口座からファクタリング会社の口座に変更してもらう必要があるからです。

この場合、売掛先から承諾を得られないと最終的に回収代金も支払われないので、ファクタリング契約ができません。

したがって3社間契約ファクタリングにおいて、取引成立のためには売掛先の事前承諾が必須の条件となっています。

また売掛先によっては、最初からその売掛金に対して譲渡禁止の契約を巻いているものもあり、この場合にはファクタリングそのものが利用できないことになります。

3社間契約ファクタリングのメリット・デメリット

3社間契約ファクタリングは、売掛先を巻き込んで行う最もオーソドックスな取引形態なので、ファクタリング会社にとっては極めて回収リスクが少ない契約です。

その分ファクタリングに係る利用手数料も安くでき年2%~5%程度となっています。

ただ売掛先を契約に巻き込む分、承諾を取ることや各種契約書を取り交わすのに時間も掛かりデメリットもあります。

3社間契約ファクタリングの主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

・3社間契約ファクタリングのメリット

  • 売掛金回収の確実性が高いので利用手数料が安い
  • 売掛先からの入金がなくても、すでに承諾済みの案件なので、ファクタリング会社が売掛先に対し直接回収代金を請求できる

・3社間契約ファクタリングのデメリット

  • 取引にあたり必ず売掛先の承諾を取らねばならない
  • そのため審査や実行にも時間が掛かる
  • 売掛先によっては承諾に難色を示す場合がある
  • ファクタリングの事実を知って、売掛先の中には利用者の資金繰りを疑問視し、取引の停止や取引額の縮小を行ってくる可能性がある

2社間契約ファクタリングとは

2社間契約ファクタリングを取引の流れに沿ってチャート図に示すと以下のようなものになります。

2社間契約ファクタリングの仕組みをわかりやすく図解で説明

2社間契約ファクタリングとは、利用者とファクタリング会社の2社間で行われる取引で、この場合は売掛先企業が取引に入りません。

2社間契約はファクタリングする事実を売掛先に内緒で行う取引となります。

この場合、売掛先に売却の承諾を取る必要がないので取引が早く進みます。

ただし売掛先の承諾を取っていないので、売掛金の回収期日が来ても、ファクタリング会社は直接的に売掛先から代金を回収することができません。

回収の手続きとしては、いったん利用者が売掛先から資金回収を行い、自分の口座に振込してもらった後、その資金を即日でファクタリング会社宛て送金することになります。

ただし利用者の中には相変わらず資金繰りが厳しい先があり、ファクタリング会社が資金回収する前に、振込されたその資金を利用者が別の目的に使ってしまうとか、使った後にそのまま利用者の会社が倒産してしまうケースさえあります。

さらに事業者として必要な納税をおこなっていないとか、他社に未払いの債権があると、振込された資金が速攻で国・地方自治体や他の債権者に差し押さえられてしまうリスクも存在します。

こうなると、ファクタリング会社も代金を回収できなくなるので困ってしまいますね。

2社間ファクタリングでは常にそのような回収リスクが伴うので、3社間契約と比べてもどうしても利用手数料は高くなり、年10%~30%と極めて高くなっています。

またファクタリング会社としては、2社間契約では常に上記のような高い回収リスクがあるため、別途「債権譲渡登記」を行って債権保全を図る場合があります。

債権譲渡登記とは、売掛金を買い取りした後、ファクタリング会社がその売掛債権の権利を法務局に登記する手続きのことで、そうすることで売掛金の所有権を確定できます。

そうすればいざトラブルが発生しても、売掛先や銀行等、他の利害関係者に「この売掛金は買い取りしたファクタリング会社が占有している」事実を知らしめることができるので、会社としても安心して回収期日を待つことができるようになるのです。※

※ただしファクタリング会社によっては、債権譲渡登記に関して実際に登記をせず、回収期日まで登記関係書類を手元で保管、資金が回収できた段階で利用者に書類を返却する対応をする先もあります。

2社間契約ファクタリングのメリット・デメリット

2社間契約ファクタリングのメリット・デメリットは以下のようなものがあります。

・2社間契約ファクタリングのメリット

  • 売掛先に譲渡の事実を知られずに売掛金を売却できるので資金を手にするのが早い
  • 審査のポイントは売掛先の信用性及び売掛金回収の確実性のチェックなので、銀行の融資審査ほど時間が掛からない

・2社間契約ファクタリングのデメリット

  • 利用手数料が極めて高くなるので、利用頻度を考えて利用しなければならない
  • 2社間契約はファクタリング会社にとって常に回収リスクが高いので、利用者は買い取り条件に債権譲渡登記を要求される場合もあり、その場合の税金、登記費用等は利用者負担となる
  • 利用者が税金を未納、滞納していた場合、国税等の請求権は他の民間債権に優先するので、利用者の口座に売掛先から回収金が送金されても、その資金がすぐに国や地方自治体に差し押さえられてしまうリスクがある

その他のファクタリングの種類

これまで説明してきたファクタリングは売掛金を売買する、いわゆる買い取りファクタリングといわれるものでした。

この章ではその他の主要なファクタリングの種類を3つ紹介します。

医療ファクタリングとは

医療ファクタリングとは、医療報酬債権を売却(譲渡)する取引のことで、もちろん医療報酬債権も売掛金の一種です。

医療報酬には診療報酬、介護報酬、調剤報酬などがあり、ファクタリングの利用者は歯科を含む医療機関、介護施設、調剤薬局などです。売掛先は国民健康保険団体連合会、社会保険診療報酬支払基金となります。

各医療報酬機関は診療やサービスの結果であるレセプト(診療報酬明細書)を該当の国保や社保に送ることで報酬を受け取りますが、通常報酬を受け取れるのはレセプトを出してから基金のチェックを受けて2ケ月後となり資金回収がかなり遅れます。

その間も医療機関等は仕入れ代金や従業員の給与支払いで運転資金が必要なので、資金繰りが厳しいとファクタリングのニーズも生まれてきます。

幸いなことに、民間企業の売掛金に比べて医療報酬債権の売掛先は国保や社保なので、売掛金の回収リスクは極めて低く、その結果医療ファクタリングを利用しても利用手数料は年2~3%前後と極めて低いです。

買い取りファクタリングの中では、異質なファクタリング取引といえるでしょう。

なお取引形態を見たら分かるように、医療ファクタリングは最初から売掛先である国保や社保を巻き込んだ3社間契約となっています。

保証ファクタリングとは

保証ファクタリングとは、売掛金を持つ事業者が売掛先の倒産や事業縮小に伴い売掛金が回収できなくなるリスクを避けるため、ファクタリング会社に依頼してその売掛金の支払保証をしてもらう取引のことをいいます。

またその保証の対価として利用者は保証料を払いますが相場は売掛金額の10%程度です。

もし売掛先が倒産等で売掛金を支払いできなくなっても、保証を受けている事業者はファクタリング会社から売掛金相当の保証金を受け取れるので損害をまぬがれることができます。

これが保証ファクタリングの仕組みです。

工事期間が長く、その結果、売掛金である出来高工事債権の支払も長期化する建設業などがこの保証ファクタリングの主な利用者になっています。

国際ファクタリングとは

国際ファクタリングとは、商取引で外国の業者を相手とする貿易業者が利用するファクタリングです。

たとえば日本の業者を輸出業者、外国の取引業者を輸入業者とします。

その場合、日本の業者が自社の製品を外国の取引先に輸出すると、輸入業者がその製品を受け取ったと同時に売掛債権が発生します。

輸出・輸入の決済の仕組みは複雑なのでここでは詳しい説明は省きますが、一般的には貿易取引で輸入業者が取引している銀行から信用状(Letter of Credit、通称L/C)という書類が発行され、それを元に業者間、銀行間で荷物の受け渡しや国際間の資金の決済が行われます。

また場合によっては輸出業者が自国における貿易保険制度を利用することもあります。

国際ファクタリングもまたその輸出代金の回収を確実に行う方法のひとつです。

具体的には世界各国のファクタリング会社が連携して作り上げた国際的な組織があり、日本でも大手銀系ファクタリング会社などが参加して業務を展開しています。

この場合ファクタリング会社は、国内と海外のファクタリング会社が国内の輸出業者と海外の輸入業者の間に入り、連携して信用調査や資金決済の代行を行うことになります。

また日本の輸出業者が資金繰りの関係で期日前に資金が欲しい場合、日本のファクタリング会社が要請に応じて手形の買取りや立て替え払いをすることもあります。

ただし国内ファクタリングとは異なり、国際間での書類の受け渡しには時間が掛かるので、国内に比べて国際ファクタリングの場合は資金の回収が早いというほどのものでもありません。

国際ファクタリングの利用者は貿易を取り扱うことに慣れている大手業者中心で、事業規模の小さい中小企業者では利用価値があまりないのが実態です。

ファクタリングの審査

この章では再び買い取りファクタリングに戻り、一般的なファクタリング審査の流れを説明します。

申込みを含めたファクタリング審査の流れは以下のようなものになっています。

  1. 申込み
  2. 仮審査
  3. 本審査
  4. 売掛金の買い取り・入金
  5. 売掛金の振込(資金回収)

ファクタリングの審査では、ファクタリング会社が最も重視するのは売掛金の信用度と回収可能性です。

つまり売掛先企業の信用度や安定度が審査のポイントになり、売掛金を売却した利用先の信用度を審査するのではありません。

ここが通常の銀行融資の審査とはポイントが大きく違う点です。

仮審査・本審査での具体的な審査のポイント

2社間ファクタリング取引では、いったん売掛金の決済代金は売掛先から利用者の取引口座に振り込まれます。

またファクタリング会社が受け取る前にその資金を利用者に使われては回収が難しくなるので困ってしまいます。

そのため、2社間契約における審査では、派生的に利用者の会社についても審査は行われますが、あくまで主たる審査は売掛先企業の信用度や安定度について行わるので、利用者は審査ポイントを間違えないようにして下さい。

ファクタリング申込後の仮審査では、利用者企業や売掛先が実際に存在している会社かどうか、事業実態はあるのか、ファクタリング会社の審査基準に沿った事業体かどうか、など形式的な判定が行われます。

もちろん会社経営者、個人事業主の個人としての信用調査も審査の対象です。

本審査では、申込者から提出された審査書類に基づき、売掛金の実態や回収可能性、仮審査でチェックした内容が正しいかどうか、提出書類の真偽も含めてより深く精査されます。

その段階でもし売掛金の信用性に疑いがあれば、審査落ちするか、追加書類を求められてより慎重に審査されることになるでしょう。

ファクタリング審査に必要な書類とは

ファクタリングの審査に必要な書類としては以下のようなものがあります。

全部そろえるのに時間も掛かるため、日頃から整えておけば急ぎの場合でも早めにファクタリングの審査が受けられます。

最も重要な書類
  • 売掛債権があることを証明する資料
    …売掛先との基本契約書や発注書、請求書
  • 売掛金が定期的に入金されている履歴書類
    …銀行口座通帳等の現物や利用明細書
その他の必要書類
  • 利用者の事業概要を示すもの
    …会社パンフレットや自社のHPアドレス
  • 決算書類2~3期分
  • 資金繰り表
  • 買い取り予定の売掛金が複数あればその売掛金明細一覧表
  • 地方自治体発行の納税証明書
    …納税の有無確認のため必要な場合あり
  • 法人の場合、履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
    …直近3ケ月以内発行分

ファクタリング審査の対策と注意点

これまでは主に、ファクタリングに関する基礎知識、審査に関する流れやその審査書類の説明でした。

この章ではこれまでの知識を基本に、事業者がファクタリング審査を受ける時の注意点や、それを踏まえての対策などを詳しく解説します。

ぜひ熟読して審査がうまく通るよう活用して下さい。

個人事業主はファクタリング利用できない買い取り会社がある

ファクタリングは法人及び個人事業主・自営業が利用できますが、ファクタリング会社によっては個人事業主の売掛金を買い取りしてくれない業者もいるので注意して下さい。

前章まで解説したように、ファクタリング会社は現在すべて民間会社から作られています。

参入障壁も低いので色々な業界から入ってきていますが、比較的に業歴の浅い会社も多く、それだけにファクタリング会社によって審査基準もバラバラです。

なぜ個人事業主の売掛金を買い取りしない会社があるかというと、法人に比べて売掛金自体の信用度が低いからです。

それに売掛債権の支払い義務を負う売掛先を「法人に限定」しているファクタリング会社も多いです。

そもそも売掛金を買い取りに持ち込む個人事業主の取引先も同じ個人事業主であることも多く、そうなると上記の審査基準に引っ掛かって買い取りしてくれません。

このように個人事業主には色々な制約があるので、個人事業主がファクタリングを利用したい場合、その会社が受付してくれるかどうか、まずはネットの公式サイトで調べるか、電話で直接問合せしてから申込みしたほうがいいです。

資金が間に合わない場合があるので審査にかかる時間を事前にチェック

資金を急ぐ事業者にとって、ファクタリング利用による資金調達は、銀行融資や公的融資より審査時間も短く大変便利ですが、それでも場合によっては時間が掛かることもあり注意が必要です。

事前にどれぐらい審査に時間がかかるか、公式サイトのチェックや担当者に問い合せしてよく確認しておきましょう。

審査に時間が掛かる例としては、3社間契約の場合、銀行系の大手ファクタリング会社に申込みした場合、売掛先の信用度が低く調査に時間が掛かかり、長いものでは1週間~2週間も審査にかかる場合もあります。

これに比べると2社間契約の場合は、各社とも申込み日の当日~3日以内に対応とかなり早く、資金を急ぐ事業者には大変心強いです。

ただしその分、利用手数料は高レートとなり、あまり頻繁に利用すると会社の財務体力も弱らせるので、利用頻度に気を付けて活用するようにして下さい。

ファクタリング契約がノンリコースか、ウィズリコースか事前に確認

ファクタリング契約では、利用者は契約前にファクタリング会社に対し、その取引がノンリコースか、ウィズリコースか、後でトラブルの元にならないため、きちんと確認を取っておくことが大事です。

リコースとはファクタリング会社が利用者にさかのぼって請求できる償還請求権のことで、ファクタリング契約においては2つのタイプがあります。

ノンリコース(支払い義務なし)とウィズリコース(支払い義務あり)です。

ノンリコース契約とは、ファクタリング実施後にもし売掛先が倒産等で売掛金の決済ができなくなった場合でも、ファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらった利用者はその資金を返す必要のない契約をいいます。

一方ウィズリコースでは、仮に売掛先が倒産等で売掛金の決済ができなくなった場合、利用者がすでに資金を使っていたとしても、ファクタリング会社からリコース契約に基づき資金の返還を求められたら、売掛金相当額をどこかから工面して返済しなければなりません。

一般的にはウィズリコースよりノンリコースの方が利用者にとってはメリットが高いので、その分ファクタリングの利用手数料が高くなっています。

ファクタリング会社によってリコース契約の対応の有無はバラバラなので、契約内容がどうなっているのか、自身のニーズに合ったものかどうか、利用者は事前にしっかり把握しておきましょう。

銀行や取引先に知られたくないなら2社間ファクタリングを利用する

もし取引している銀行や取引先(含む売掛先)にファクタリングを利用していることを知られたくないなら、必ず2社間ファクタリングを利用するようにして下さい。

ファクタリングの認知度が上がっているといっても、まだまだ日本ではある種の偏った見方が存在します。

それは「ファクタリングを利用している事業者は資金繰りが厳しく経営が危ないのではないかと」という偏見です。

もちろんファクタリングを利用している法人・個人事業主のすべてがそのような環境下にあるわけではない。

融資や出資に加えて、手持ちの売掛金を活用して、新たな資金調達方法のひとつにファクタリングを活用しようと思っている事業者も増えています。

しかしいくら事業者が純粋にそのように前向きに考えていても、ファクタリングを利用している事実を知ったある種の偏見を持つ銀行や取引先が不安を感じたら、融資の引き上げ、取引の縮小や停止を言い出すかもしれません。

できればそのようなリスクは避けたいものですね。

そのような場合は、たとえ利用手数料は高くなっても迷わず、取引先や銀行に知られにくい2社間ファクタリングを利用するようにして下さい。

またファクタリング会社にとっても、利用者の信用を守ることが一番大切なことであり、秘密厳守に積極的に協力してくれるでしょう。

ファクタリングを利用しても信用情報にキズがつかない

事業者はファクタリングの審査を受けても会社や個人の信用情報にキズがつかないことを知っておいて下さい。

ファクタリング会社は今のところ、法律の規制を受けておらず、法規制の下で融資を審査・実行する銀行や消費者金融のように特定の信用情報機関に加盟する義務もありません。

そのため、たとえファクタリングの審査に落ちたとしても、その事実は当該ファクタリング会社の社内記録に残るだけで、外部の信用情報機関に登録されることもなく、結果として自社や自分の信用にキズがつくということもないので安心して下さい。

またファクタリング会社が申込先や売掛先の信用調査のため、対価を払って帝国データバンク、東商リサーチ等の調査会社に情報提供を依頼することもありますが、それは単に顧客情報を得る目的だけのものです。

またファクタリング会社からこれらの調査会社に審査結果を知らす義務もないので、同じく利用者の信用にキズがつくようなものでありません。

安定・継続した売掛金の方がファクタリング会社には信用度が高い

同じ売掛金でも、取引において臨時で発生する売掛金より定期的に継続して発生する売掛金の方が、審査においてはファクタリング会社への信用度が高いことを知っておきましょう。

取引において単発で発生する売掛金だと、売掛先の信用度にもよりますが、どうしても回収リスクが高くなり、買い取り手数料も高くなりがちです。

ところが毎月の取引で定期的に継続した売掛金が立っていると、利用者の書類で入金実績が確認でき資金回収の信用度が増すため、ファクタリング会社も利用手数料を低くすることができます。

審査を受けるにあたり、自社が持ち込む売掛金がどのようなタイプか、知っておくのも審査をうまく通すための対策です。

ケースによっては債権譲渡登記が必要になる場合がある

ファクタリング取引には買い取りする会社によって色々な条件がつく場合があり、そのひとつとして債権譲渡登記が必要になるケースがあるので注意して下さい。

債権譲渡登記というのは、ファクタリング会社が買い取りしたその売掛金の権利を法務局に登記して、第3者に対して所有権を主張するための手続きのことをいいます。

いったん登記を行えば、その事実は誰でも法務局で閲覧することができるので、ファクタリング会社としては第3者に対抗できます。

また債権譲渡登記は3社間取引でも2社間取引でも利用できますが、ほとんどの場合、回収リスクの高い2社間取引で利用されています。

ただし場合によってはファクタリング会社の判断で実際の登記を行わず、いつでも登記可能な書類だけ整えておいて自社で保管、債権の回収状況を見ながら、無事に回収できたら利用者に書類を返却するという方法を取ることもあります。

個人相手の売掛金はファクタリングの対象にならない

売掛金にも色々な種類がありますが、ファクタリングにおいて個人相手の売掛金は審査の対象となりませんのでよく覚えておいて下さい。

個人相手の売掛金とは、たとえば家主が権利を持つアパートの家賃収入とか、個人相手に販売した土地建物や貴金属等の売掛金を指します。

基本的に個人対象の売掛金はすべてファクタリングの買い取り対象から外されるので注意が必要です。

同じ売掛債権を2社以上のファクタリング会社に同時売却しない

利用者が知らずにおこなった、すでに売却していたことを忘れていたなど、その言い訳の内容に関わらず、同じ売掛金を2社以上のファクタリング会社に売却して資金を得る行為は、詐欺として立件されれば犯罪となりますので絶対にやらないよう気をつけて下さい。

ファクタリング会社もそこは抜け目なく、審査にあたっては常に「売掛金の二重譲渡はないか?」の視点から慎重に審査をしています。

その気配を感じたら、あらゆる角度から質問や調査をして真偽を確かめにくるでしょう。

間違ってもそのような扱いを受けないよう、ファクタリングの審査では事実を示し誠実な姿勢で臨んで下さい。

忙しくてファクタリング担当者との面接審査が難しい場合

事業者の本社が地方にあり、また仕事で忙しくファクタリング審査で担当者との面接審査が難しいような場合、最近はネットで取引完結できるファクタリング業者も出てきているので活用してみて下さい。

ネットの発達で個人向けカードローンやビジネスローンはネットで取引完結できるケースが多くなっています。

しかしファクタリング会社の場合、多くはまだ会社としての歴史も浅く、さらに大半が東京近辺に本社が集中しているため、審査の面でも対面審査重視であり、地方の事業者には利用しにくい環境です。

しかしこの業界もネット環境を無視していては、厳しい競争の中、勝ち残っていけないので、取引においてどんどんネット活用率を高めています。

その中にはすでにネットだけでファクタリング取引が完結できる業者も現れているので、利用条件でハンディのある地方在住の業者は、そのようなファクタリング会社で審査を受けてみてはいかがでしょうか。

担保や保証人を要求されたら詐欺業者の可能性あり

ビジネスローンと同様、ファクタリング会社の中にも詐欺業者が混じっている可能性があるので、極力関わらないようにして下さい。

ファクタリングを利用するということは、利用者によっては資金繰りが厳しい場合もあるので、事業者が資金を急ぐあまり、焦りから間違って詐欺業者と関わりを持ってしまうかもしれません。

ファクタリング会社の場合、現状規制する法律も監督官庁もないので、闇金業者のような違法業者が形を変えて入ってきている可能性はあります。

これを見破る一番簡単な方法は、もしその業者が「御社には信用力が不足しているので、何か信用力を補完する担保か保証人を用意して欲しい」といってきた時です。

そもそもファクタリングは売掛金の売買なので融資のような担保や保証人は不要のはずです。

それにもかかわらず担保や保証人の話をしてくるということは、その業者はファクタリング会社の衣を被った、じつは違法な融資をたくらんでいる違法業者の可能性があります。

そのようなヤミ業者なら提示してくる金利も出資法や金利制限法に違反した暴利であることは間違いありません。

くれぐれもこのような違法業者とは関わらないように注意して下さいね。

ファクタリングとは何か?|まとめ

ファクタリングの審査を受ける時、法人や個人事業主が注意しなければならない点、また審査を通るための対策などについて詳しく解説してきました。

あらためてファクタリングとは何か?を以下にまとめました。

・ファクタリングとは売掛金の売却(譲渡)取引である。

・ファクタリングには規制する法律がなく、取扱会社が自由に手数料率や審査基準を決められる(2018年11月現在)。

・ファクタリングは法人・個人事業主とも利用できるが、一部の個人事業主が利用制限を受ける会社もあるので注意。

・契約には3社間契約と2社間契約があるが、現状は売掛先に内緒でファクタリングができる2社間契約が主流で利用されている。

・3社間契約と2社間契約の利用にあたり、それぞれメリットやデメリットがある。自社の財政状況や資金ニーズ、売掛金の信用力など、勘案してどちらを利用するか決めること。

・ファクタリングの審査は、自社の信用力でなく主に売掛先企業の売掛金の信用力を軸に審査する。

・ファクタリングの審査を受けるにあたり、その対策と注意点を11件説明しているので、よく理解して活用して欲しい。

初めてファクタリングを利用しようとする事業者、あるいは少しずつファクタリングの利用が上がっているがまだ内容がよく理解できていない事業者に対し、この記事が少しでも役立つことを願います。