住宅ローンでカードローンなどの借金はおまとめできる?

カードローンを知る・学ぶ

カードローンの使い道は原則自由です。事業資金など一部禁止されているものもありますが、この使い道が自由なことがカードローンの大きな特徴の一つです。

ではローンの代表格である住宅ローンの場合、この使い道についてはどうなっているのでしょう?今回はこちらをテーマに説明していきます。

「カードローン 住宅ローン」と検索すると、カードローンが及ぼす住宅ローン審査への影響に関するものが多いのですが、なかには「住宅ローンで借入をおまとめ」という記事も見受けられます。今回のテーマにつながるこの点についても銀行員として注意すべきことなどお話ししていきたいと思います。

(注)記事中の記載内容は、あくまで私の勤務する銀行を基準にし、銀行員としての私の考えをもとにしております。そのため特定の企業や商品を否定や攻撃する意図はなく、同時に特定の金融機関や商品に誘導する意図もございません。興味を持たれた人、あるいは内容について詳しく知りたい人は、必ずご自身で確認してください。

住宅ローンでカードローンなどの借金をおまとめできるのか?

今回の「住宅ローンでカードローンなどの借金をおまとめできる?」という問いかけには2つの意味があります。

1つ目は「住宅ローンでカードローンの借入をまとめることは許されるのか?」、つまり「やっていいのか?」と言う点。そして2つ目は「住宅ローンの仕組みでは取扱可能なのか?」というものです。

この2つの点について、過去に対応した実例を基に説明していきます。

<実例>
カードローンやサラ金など複数の借金をまとめるため、ウソの申込みをした人がいました。お客様(会社員)が自宅の大規模リフォームをしたいと住宅ローン申込みをされましたが、見積書が改ざんされていたり、金額や工事箇所が何度も変わったりなど、とにかく怪しい案件でした。

その人はいつも建築業者と一緒に来店していたのですが、本人だけで来店したときに、別室に通して詳しい話を聞きました。私の銀行員としての経験や、上司からの指示もあり(疑わしいので調査するよう指示があり、また個人信用情報の調査で多重債務者だということがわかっていました)失礼にならないよう言葉は選んだうえで「本当の使い道はなんですか?」と聞きました。

するとご本人から「本当はリフォームの必要などない。実は借金をまとめたかったので、業者と示し合わせてウソの住宅ローン申込みをした」「見積書などの資料は業者が偽造した」との告白があり、事実が判明しました。

多重債務に苦しんでいた本人が、たまたま知り合った建築業者社員に相談したところ、自分の実績を作りたい社員が今回の話しを組み立てたとのことでした。

私の銀行では住宅ローンで他の借入をまとめることは禁止されています。またこのケースでは申込みそのものがウソだったので、当局に報告しました。虚偽の融資申込みなど重大な事案は、監督官庁への届け出が銀行には義務づけられているからです。

どちらかと言えば業者主導で、本人もウソの申込みを認め反省されていましたし、銀行に実害はなかったので警察への訴えは見送られました。ただしご本人は銀行に出入り禁止となり、あとで聞いた話ですが結局は自己破産され、業者の社員も解雇されたとのことでした。

カードローンや他の借金を住宅ローンでまとめていいのか?

まず、カードローンや他の借金を住宅ローンでまとめていいのか?という問いかけに対する答えは、銀行員として「ダメ」だと言えます。ただし、この点についてはいろいろ説明が必要になります。

次に住宅ローンの仕組みとしてできるのか?については、ほとんどの金融機関では住宅ローンでのおまとめを認めていません。

住宅ローンでカードローンのおまとめは許されるのか?

個人が住む家(マイホーム)を手に入れるための住宅ローンは、生活の根本的部分です。ですからいろいろなかたちで住宅ローンは「特別扱い」されています。

住宅ローン減税などの優遇措置や、返済に困ったときの救済策であるリスケ(返済額を一時的に減らすこと)など国の施策で住宅ローンは守られているのです。

その反面、住宅ローンの資金使途は住宅購入などに限られ、カードローンなど他の借金のおまとめに使うことは原則できません。

もちろん、あくまで住宅ローンという融資の規則では認められていないだけであり、法律で規制されているとか、資金使途に違反したら罰則があるというものではありません。

虚偽の申込みや書類の偽造は犯罪行為になるかも知れない

ただしウソはダメです。実例のようにウソの申込みをしたり、書類を偽造したりすれば最悪犯罪行為になってしまうかもしれませんので注意が必要です。住宅ローン減税を受けていた場合は、犯罪に加えて脱税となるおそれもあります。

例えばネットで見かける「住宅ローン(リフォームローン)を使って借金をおまとめ」という記事も、銀行員から見るといくつか疑問に感じることがあります。

まず宣伝のとおりなら、住宅以外の資金使途で住宅ローンを申込むと表現しているように感じられますが、資金使途としては問題となります。

また「おまとめローンより、住宅ローンやリフォームローンのほうが低金利だからお得です」という表現にも危うさを覚えます。あくまで記事を部分的に見た感想であり、詳細について調べたわけではないのでこのくらいにしますが、申込先の金融機関に提出する資料が真実を示していないとしたら、やはりウソの申込みと言えるのではないでしょうか?

最近は「おまとめ詐欺」といったような悪質業者もいるようなので、内容についてはしっかりと確認することが大事です。

住宅ローンの仕組みとしてカードローンのおまとめはできるのか?

上記のとおりカードローンなどの他の借金を住宅ローンでまとめることはできませんので、当然、仕組みとしてもできないというのが答えになります。

住宅ローンの審査では、見積書や工事請負契約書、そして建築確認通知書などの資料が必要になります。これは単に資金使途の確認というだけではなく、本当に自分の家を手に入れること(税制優遇の面で)、物件が建築基準法などをクリアしていること(違法建築ではないか)などを確認するためでもあります。

やや話しが堅苦しくなってしまいましたが、要は「住宅ローンは住宅のためにしか使えない」仕組みなのです。ですから、住宅ローンの仕組みとしてカードローンなどの借金はおまとめできないということになるわけです。

住宅ローンをおまとめに利用できる金融機関もある

ろうきん(労働金庫)などのごく一部の金融機関ですが、カードローンや自動車ローンなど他の借金と一本化したうえで住宅ローンとして借りられるところもあります。

ただしおまとめした金額は、いわゆる住宅ローン減税では認めてもらえない可能性が高いとか、民事再生法での「住宅資金貸付債権に関する特則」(自宅だけは残したいので自己破産をしないで、住宅ローンと減額した他の借金を返済していくこと)の適用対象外となる可能性があることなど注意が必要な点も多いです。

住宅ローンでカードローンをおまとめしてはいけないもう一つの理由

一部の金融機関で認められているように、もし住宅ローンでカードローンなど他の借金をおまとめできるとしても、銀行員として多くのお客様を見てきた経験から申し上げるとやってはいけません。いえ「やって欲しくない」と強く感じます。

多重債務してしまう人は、往々にして繰り返す傾向があります。おまとめできた結果、カードローンには空きワクができますので、それを使わないよう「誘惑に勝てるか?」という点が問題になります。つい、少しだけと言って使ってしまう人もいるでしょう。そうなったらせっかく一本化できたことが無駄になってしまうかもしれません。

また低金利でおまとめできたとしても、おまとめして住宅ローンに変わったことによる返済年数は非常に長くなります。もともとのカードローンとしての返済年数と比べれば借金が減るスピードも長期化してしまいます。また相対的に支払う金利も長く払うことで結果的には多くなってしまうかも知れません。

正しく認められた方法でおまとめをする場合でも、今お話しした点はぜひ考えたうえで、慎重に決断されるようお願いします。

カードローンはカードローン、住宅ローンは住宅ローンでそれぞれまったく違う借金です。そのことはぜひ忘れないでいただきたいと思います。

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。