住宅ローン審査とカードローンの関係~銀行が解約を求める理由

カードローン審査

住宅ローンとカードローンの関係について銀行員がお答えします。

住宅ローン審査でカードローン解約を求められた場合のこと、住宅ローンで他のローンをまとめることについても。

Q.住宅ローン審査とカードローンの関係とは?
A.カードローンは住宅ローン審査にいろいろな形で影響を及ぼす

「カードローン 住宅ローン」でネット検索すると、「住宅ローン審査 カードローン」がヒットします(ちなみに言葉を逆に「住宅ローン カードローン」で検索すると、「住宅ローン カードローン おまとめ」となります)。

ネットでは『カードローンを利用すると住宅ローン審査に響く?』『住宅ローン申し込み前にカードローンは解約したほうがいい?』といったタイトルが目を引きます。

このように住宅ローン審査では、必ずと言っていいほどカードローンが問題になります。

そこで今回は住宅ローンとカードローンの関係を、

  1. 住宅ローン審査におけるカードローンの影響
  2. 住宅ローン審査でカードローンの解約を求められたら?
  3. 住宅ローンを使ってカードローンをまとめること

この3点について、実際に住宅ローン審査をしてきた銀行員の経験からお話ししますので、ぜひ今後の参考にして下さい。

住宅ローン審査とカードローンの関係

カードローンは住宅ローンの審査に影響すると書きましたが、もう少し具体的に説明します。

カードローンが最も影響するのは、返済能力を見る際に加算されるという点です。

ここからは、カードローンと住宅ローン審査の関係を理解しやすくするために、まず返済能力など住宅ローンの審査について、わかりやすくお話ししていこうと思います。

住宅ローンの審査で「借入」になるもの

住宅ローンの審査で、まず何が借入(つまり借金)と見なされるのか、種類とポイントを簡単に説明します。

カードローン

「カードを持っているだけで全く使っていないのに、限度額いっぱいまで借りていると判断されて審査に落ちた」などと説明しているサイトもありますが、実際に住宅ローンを審査した経験から言いますと、そんなことはありません。

例えば私の銀行では「2年間全く利用していなければ、限度額の1割を借入とする」という基準になっています。

<具体例>限度額50万円のカードローンを2年間全く使っていなければ、限度額の1割(5万円)を借入として返済能力の計算に加算する。

ちなみにカードローンの限度額を満額返済比率に加算していたのは、かなり昔のことです。

このように、限度いっぱいまで借入と見られることは少なくなってきていますが、この部分は金融機関それぞれの姿勢・スタンスによりますので、全て同じではない点に注意が必要です。

『だったら今すぐにでも解約しなきゃ!』そう思った人も、とりあえず最後までお付き合い下さい。解約するにはその「効果」を考えることが必要です(詳細は後述します)。

自動車ローン

自動車ローンを毎月キチンと返済していればマイナスの影響はありません。

もちろん自動車ローン残高や毎月の返済額はローン審査に影響しますが、真面目に返してきたという実績は好評価につながります。

自動車ローンだけなら、例えば返済比率が多少基準をオーバーしていても大目に見てくれる場合もあります。

これは、自動車を購入するためローンを組むのはごく自然なことなので、マイナスに影響しないというものです。

ただし注意しなければならないのは、どこで借りたか?という点です。

  • 銀行など金融機関で借りた場合⇒まず問題なし
  • ディーラー系の信販会社⇒ディーラー経由で申込んだならこちらもそれほど問題なし
  • その他の信販会社、消費者金融系など⇒これは「銀行でローンを断わられたのでは?」と疑われる場合がある

車の購入でローンもセットで勧誘された場合など、銀行に行くのが面倒だからとそのまま申込んでしまうと、場合によっては思わぬマイナス影響があるかも知れません。

自動車ローンを組むときには、どこから借りるのか?は必ず確認して下さい。

消費者金融

以前と比べてイメージも変わってきたとは言え、審査には確実にマイナスの影響大です。

銀行から見ると消費者金融は、街金・闇金と同じ借財(しゃくざい)に分類されてしまいます(これを銀行では「高利借入(こうりかりいれ)」と呼んでいます)。

誤解の無いよう申し上げますが、決して消費者金融を否定しているわけではありません。

しかし住宅ローン審査では、消費者金融の借入があれば間違いなく審査落ちです。

なおこれについては、消費者金融系のカードローンを持っている場合も同じです。

持っているだけで利用していなくても結果は同じです。ここでもカードローンの解約が重要ということをわかって頂けたと思います。

クレジットカード

クレジットカードを利用した買い物代金の一括払いやリボ払いも「借入」と見られます。

もちろんクレジットカードで買い物をすること自体ごく当たり前なので、そこがマイナスになることはありません。ただし注意が必要な点が2つあります

  1. 利用残高は常識的な範囲で
  2. 残高不足で落ちないとマイナス

1.利用残高は常識的な範囲で

高額な買い物代金が毎月のように引き落としされていると、浪費ぐせがあると見られる可能性があります。利用はあくまで常識的な範囲にしたほうが良いでしょう。

2.残高不足で落ちないとマイナス

残高不足でカード代金が落ちなかったことは、個人信用情報を見るとわかってしまいます。これは借金の返済を延滞したことと全く同じに見られます。

また、自分で買い物した代金のことを把握できていない=自己管理ができない、だらしない人間と見られてしまいます(クレジットでのカードローンやキャッシングはいうまでも無く「借入」に含まれます)。

住宅ローン審査の基本は返済能力

では次に「返済能力」についてもう少し詳しく説明します。これは住宅ローン審査で最も重要な部分です。

住宅ローン審査では返済能力が最も重視される

住宅ローンの審査では、返済能力が最も重視されます。

「個人信用情報がブラックだけど借りられる?」とか「消費者金融に借入があるけど大丈夫?」これらはローン審査で言えば「入り口」にあたる部分です。

上記のようなケースは即審査落ちになります。入り口に入れなければそもそも審査ができません(ちなみにこうした審査落ちを「即死」とか「(審査の)テーブルにも乗らない」などと銀行では呼んでいます)。

住宅ローンでちゃんと審査ができる人なら、この返済能力が重要になります。

もっと言えば返済能力が住宅ローン審査の全てである!といっても決して言い過ぎでは無いと私は考えています。

金貸しとして、銀行は住宅ローンという「債権」を回収できるのか?そこを見ているのです。

返済能力の計算方法

返済能力は次の計算式で算定されます。

計算式

借入÷年収=○%

この計算式で出したパーセンテージが返済能力(返済比率とも呼ばれます)です。

一般的には「返済比率は25%なら大丈夫」「30%を越えると審査は難しい」などと言われています。

(用語解説)
【借入】:すべての借金を合算した借入総額
【年収】:給与収入など(給与所得ではありません、いわゆる税込み年収のこと)
※個人事業主の場合は年収の定義がいろいろで一概に言えません

借入(分子)を少なくすれば返済能力は良くなる?

返済能力の計算式を見ればおわかりいただけると思いますが、これはもう算数の問題と同じです。

年収(分母)を大きくするか、借入(分子)を小さくすればパーセンテージ=返済能力は良くなります。

年収は基本的に動かすことはできません(ここをいじると虚偽になります)。ですからあとは分子、つまり借入を小さくするしかないのです。

カードローンはたとえ使っていなくても限度の1割が借入になってしまいます。ここでもカードローンの解約が重要だということがわかります。

住宅ローン審査でカードローン解約を求められたらどうする?

住宅ローン審査の現場では、銀行からカードローンの解約を求めてくる場合があります。

  1. 利用しているなら、完済してから解約しろ
  2. 使っていないカードローンは即解約しろ

このように銀行は言ってきます。

なぜ銀行はカードローンを嫌うのか?

ところで、そもそもなぜ住宅ローン審査にカードローンの影響度が高いのでしょうか?

それはカードローンの「いつでも限度額の範囲で借入自由」という特徴に原因があります。

例えば車のローンや中小規模の消費者金融の借入は、最初に100万円借りて分割で支払う方式、つまり借金は毎月減っていき、最後に完済される形式です。これを「残債証書貸付(ざんさいしょうしょかしつけ)」「残債ローン」と言います。

一方でカードローンは「借入自由」です。

例えば今日50万円利用して明日50万円返済すれば、また次の日に50万円借りることができます。こうした融資の形式を「当座貸越(とうざかしこし)」と言います。

カードローンなど当座貸越の場合、個人信用情報では限度額や返済の履歴しか確認できず、最新の残高はわかりません。借入自由なので、最新の残高は本人しかわからない仕組みです。

銀行からすると、借入残高がいくらなのか全く掴めないという、非常に厄介なものです。

銀行は住宅ローンを返済させるためにカードローンは解約させたい

このように厄介なカードローンはすぐにでも解約させたい、これが銀行の本音です。

住宅ローンは保証会社付きが一般的ですが、この保証会社から融資する条件として、カードローンの完済や解約を強制されることが良くあります。

これは、住宅ローンを融資したあとに、カードローンを無計画に使われて、結果的に住宅ローンが返済できなくなることを避けたいからです。

ただし住宅ローン申込み先の金融機関が発行するカードローンだけは別です。

銀行は積極的(強制的?)に売り込んできますので、こちらは可能な限り取引したほうが良いでしょう。もちろんこのカードローンを使っても、怒られることはありません

住宅ローンを借りる銀行のカードローンなら、残高を銀行がリアルタイムで把握できます。また延滞した場合にはすぐにカードローン利用を停止してコントロールすることができます。

場合によっては住宅ローンの返済金として、このカードローンを利用させることもできるので、住宅ローンを融資する銀行のカードローンはその金融機関にとっても有益なものです(ただしおおっぴらには言えないことなので、銀行員も慎重に話してきます)。

面倒になる芽は早いうちに摘んでおきたい~債務整理など

「面倒なことになる芽は早いうちに摘んでおきたい」これはカードローン破産や債務整理をされて住宅ローンが回収できなくなることを防ぎたいという意味です。

最近はカードローンの借入が原因で、債務整理をする人が増えてきました。

ネットやテレビ・ラジオでは、債務整理をごく普通のことのように宣伝しています。実際、銀行に対しても債務整理の依頼が弁護士や司法書士などを介して増加しています。

金貸しとしての銀行は、現在実に由々しい事態になっているというのが実態なのです。

実際の債務整理では「カードローンは債務整理をするけれど、住宅ローンはそのまま借り続けたい」といったケースが良くあります。

実のところ、これは銀行にとって「非常に面倒くさい」ことです。

借金Aは棒引き・あるいは返済を少なくする、でも借金Bはそのまま返済していくという形にされると、銀行は対応が煩雑になります。

なぜなら、例えばカードローン残高50万円だけでも、これを債務整理するということは「返済する意思が無い」ということになります。それなのに、銀行はこういう顧客と住宅ローンは今まで通り取引していかなければならないのです。

一部だけと言っても返済の意思が無い人間に住宅ローン融資を続けることは、銀行にとって非常にリスクが高いのです。

ですから、最初にカードローン自体を無くしてしまえば、こういう面倒なことの芽を摘むことができるという論法で、解約を強制してくるというわけです。

銀行員への応酬話法~カードローン解約を求められたとき

では、銀行員からカードローン解約を求められたら、どのように応じれば良いでしょうか?

実際に住宅ローン審査をしてきた私(銀行員)が「こう言われたらかなわないな」と感じるような話法をお教えします。

その前に、まずは解約に応じる前に確認しておくことについて説明します。

解約に応じる前に押さえておくこと

押さえることはただ一つ、「解約したら住宅ローン審査を通す」と言わせることです!

銀行員は「会話」「言葉」を重視します。自分の発言で顧客の将来に影響するようなこともありますので、基本的にそのものズバリ発言するようなことは避けます。特に顧客と約束をすることは、銀行員が最も慎重になる瞬間です。

ですから大事なのは「カードローンを解約したら、この住宅ローンの審査は通ります」と銀行員の口から言わせることなのです。

たいていの銀行員は、あやふやな表現で逃げ道を作ろうとしてきます。あなたは、そうさせないように逃げ道をふさがなければなりません。しかし、これが非常に難しいのです。

強硬に言えば銀行員に嫌われますし、約束させようとしていることが銀行員に伝わると(銀行ではこれを「言質(げんち)を取る」と呼びます)非常に警戒されます。

しかしご安心下さい。要は「ものは言い様」ということです。次項ではいよいよ「模範解答」をお教えします。

模範的な答え方~応酬話法のケーススタディ

銀行員:『では、今月末までに〇〇カードローンを全額返済して、解約して下さい。解約できたらそれがわかる計算書などをお持ち下さい』

あなた:『ありがとうございます!では、住宅ローンの審査は▲▲さん(銀行員)のおかげで無事通ったので、その条件としてカードローンを解約すれば良いんですね!』

銀行員:『…はい、そうです』

上の例では、お礼を述べる形を取りながら、『カードローンを解約したら審査を通す』ことをしっかり銀行員に認めさせています。こういう言い方をすれば警戒されることも無く、うまく銀行員に認めさせることができます。

カードローンを解約したのに住宅ローン審査が通らなかったら?

カードローンを解約したのに住宅ローンの審査が通らなかった…。

これも銀行の住宅ローン審査では良くあることです。でも、諦めるのはまだ早いです。

銀行員は言葉を重視すると書きました。「あのときあなた(銀行員のこと)は、解約したら住宅ローン審査を通すと約束したじゃないですか?」と主張できるように、メモを取るなど証拠を残しておくことが大事です。

たとえ手書きのメモでもしっかり記録していれば、重要な証拠になります。

「顧客保護」を宣伝している銀行、実は苦情に敏感ですので、このケースのように「解約したらローンを通すと銀行員が約束した」という主張が認められて、その結果審査が覆ってローンが通ったこともあります。

ローンを貸すか貸さないか?は銀行が決めることですが、銀行員の応対に落ち度がある場合、最悪では裁判沙汰になる可能性があります。銀行はもめ事を嫌うので、仕方なく審査を通すということがあるのです。

もしカードローンを解約したのに住宅ローン審査が通らなかったら?

乱暴な言い方かも知れませんが、どうせ断わられているのです。こうなったら、銀行員の無責任な発言に振り回されないように、主張すべきところはしっかりと主張すべきです。

もしかしたら、住宅ローン審査を再考してもらえるかも知れません。

住宅ローンで他のローンをまとめることについて

冒頭で述べた通り、住宅ローンを使ってカードローンなどの借入をまとめることが宣伝されています。

このことについて、住宅ローンを貸す側である銀行員としての考えをお話します。

住宅ローンでカードローンをまとめるのは絶対ダメ

住宅ローンでカードローンをまとめることについて、繰り返しになりますが絶対にやってはいけません。

これは犯罪にもなりかねない、非常に危険な考え方です。

これからその理由をお話ししていきます。

銀行の融資は「資金使途」が決まっている

銀行の融資はすべて使い途(資金使途)が決められています。住宅ローンなら個人が自分の住む家を手に入れるのが「資金使途」です。

住宅ローンは、生活の根源である自宅のための借入という資金使途なので、住宅ローン減税をはじめとして、様々な面で優遇もされているのです。

決められた資金使途以外のことに融資金を使うことは「資金使途違反」「流用」と言い、これが判明すると銀行は非常に厳しく対処します。

最悪の場合、即刻全額返済を求められたり、詐欺で訴えられたりする可能性すらあります。

大事なのは証拠(エビデンス)

特に住宅ローンの場合「何にいくら使ったか?」という証拠が必要になります。この証拠のことを業界では「エビデンス」と呼んでいます。

住宅ローンでは支払したエビデンスと、ローンを申込んだ時の事前資料(見積もりなど)とを比べて、最初に申請した通りの使い途で融資金が使われているかを検証されます。

もしもお金が余ってしまった場合は、例え数十万円でも、一部返済しろと言われるのが一般的です。それくらい、お金の使い途には厳しいのです。

スルガ銀行問題で「エビお願いします」というのは、このエビデンスのことです。銀行員や、銀行と取引する不動産業者などで良く使われる言葉ですが、スルガ問題のせいで、現在かなり悪いイメージがついてしまいました。

エビデンスをでっち上げたら犯罪になる!

他のサイトの中には「住宅ローンで借金をまとめましょう!」「借金のおまとめに住宅ローンを活用しましょう」など堂々と謳っているものもあります。

こうした表現は、仮に銀行が訴えれば犯罪にもなりかねない考え方です。

実際のところ私は「おっかなくて」それらのサイトを最後まで見ることができませんでした。

ですが、もしも住宅ローンで他の借金をまとめるようにエビデンスを偽造したとしたら、詐欺罪で銀行に訴えられる危険があるということをハッキリと申し上げます。

住宅ローンは住宅のためのローンです。借金のおまとめをするローンではありません。

繰り返しますが、犯罪にもなりかねない考え方ですので、絶対にやってはいけません!

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。