妻の顔が2億に見える!?働き方で生涯賃金はどう変わる?

過去には出産を機に7割の女性が仕事を辞めるという時代がありました。最近では働き方改革が叫ばれるようになり共働き世帯が増えていますが、国民生活白書の調査においても子どものいる世帯は「夫フルタイム・妻パートタイム」で働く傾向が強いことが分かっています。

一方で、内閣府の調査では、「出産を機に退職し、パートとして復帰して働き続けた場合」と「育休を取得しながら働き続けた場合」の女性の生涯賃金の差額は、なんと5,000万円から2億円であると言われています。

働くこととお金はとても大きく関係しています。

働き方が家計にどのような影響を与えるかを知り、あなたの希望、スタイルにあった働き方を選択していきましょう。

さあ、あなたにとっての「働き方かくめい」の始まりです!

※これまでの仕組みの延長線上ではないという意味での「革命」。大きな革命ではなく、個人単位でできる小さくて優しい革命をという意味で、ひらがなの「かくめい」を使っています。

人生で一番高額な契約は労働契約

あなたの人生において最も高額な契約は何だと思いますか??

多くの人は、「家」や「車」と答えます。

しかし、それは間違いです。
会社員の生涯年収の平均は2.5億円と言われており、私たちにとっての最も高額な契約は労働契約です。

そして、働いて得た賃金をもとに私たちは家や車を購入しているのです。

さらに、私たちは、人生における多くの時間を働くことに使っています。

1日8時間、週5日間の勤務で残業がない会社で働いていたとしても、身支度や通勤時間を合わせれば一日の大部分を働くことに使っていることになります。

そして、それは、あなたが働くことを辞めるまで続くのです。

私たちにとっての大切な「時間」と「お金」をどのように使うのか、私たちは「労働契約」を結ぶことで選択し決定しているのです。

では、質問です。
今あなたが締結している労働契約は、あなたの希望とあっていますか?
今の働き方の延長線上にあなたの幸せはありますか?

今のあなたの働き方を選択したのはあなた自身です。

もし不安や不満があるのであれば新しい働き方を選択するための準備を、今この瞬間から始めていきましょう。

まずは知ることからです。そして、勇気を持って選択していきましょう。

働き方で女性の生涯賃金は5,000万から2億も変わる

働き方で私たちの生涯賃金がどのように変わるのかの分かりやすい例として、出産後の女性の働き方で生涯年収がどのように変わるかを見ていきたいと思います。

現在は、雇用される以外にもフリーランスや会社員×自営業といった多様な働き方が増えてきていますが、ここではまず、一番対象となる方が多い会社員として雇用されて働く場合について考えてみましょう。

内閣府の調査によると、出産後に仕事を辞め、その後パートとして復帰し働き続けた場合と、出産後も育休を使いながら働き続けた場合の女性の生涯賃金の差額は、なんと、5,000万円〜2億円になると言われています。

働く女性の生涯賃金の差額
(出所:株式会社ワークライフバランス社作成)

育児休業期間中の所得については、雇用保険の加入者であれば子が1歳(最長2歳)になるまで育児休業手当の支給を受けることが出来ますが、扶養内での働き方を選択し雇用保険に加入していない場合は、育児休業中の所得補償に大きく差が出てくることになります。

さらに、復帰後の働き方は生涯賃金に大きな影響を与えることとなります。

下記の図の通り、育休を取得しながらも働き続けた場合、出産直後も所得の減少がなく、復帰後も賃金は年齢が上がるにつれ上昇していきます。

一方でパートとして復帰の場合は、出産直後に大きく所得が下がり、復帰後も年齢が上がったとしても賃金の上昇が見られません。

結婚や出産を機に扶養内での働き方に変更し、雇用保険、健康保険・厚生年金の被保険者には入らないという子育て世代に多い働き方がこのケースです。

正社員からパート・アルバイトへ再就職する機会費用は大きい
(出所:株式会社ワークライフバランス社作成)

雇用保険・社会保険の被保険者として継続して働き続けた場合は、出産直後も社会保障給付による所得補償により所得の減少がなく年齢が上がるにつれ収入も上昇していきます。

しかし、扶養内を希望し雇用保険未加入の場合は所得補償が無く、出産後、働けなくなると同時に所得はゼロとなり、復帰後も扶養内を選択している限り生涯所得が上昇することはありません。

このように、どのような働き方を選択するのかは生涯賃金に大きな影響を及ぼします。

そして、どのような働きかたをするかを私たちは自分で選んでいるのです。

出産・子育てしたいと思える年収は600万だけど…

次にライフイベントについて考えてみたいと思います。

どんなときに、「もう少しお金があれば!」と私たちは感じるのでしょうか?

SMBCコンシューマーファイナンスの調査によると、年収が500万円あれば結婚しようと思える割合が半数を超え、出産・子育てをしようと思える年収は600万円となっています。

結婚しようと思える年収(世帯年収)は?

出産・子育て(1人)しようと思える年収(世帯年収)は?
(出典:20代・30代・40代の金銭感覚についての意識調査2020

では、夫婦で世帯年収600万円を満たすのはいつでしょうか?

内閣府の発表する「国民生活白書」のデータを見てみると、働き方により所得に大きな差が出てくることが分かります。

夫婦になると所得は更に差が出る
(出典:「パートタイム同士」の世帯では所得が低く共働きが一般的

まず片働きの夫婦で夫がフルタイム・妻は無職の場合、20代での世帯年収は300万円台、30代では500万円台に入り、ようやく600万円を超えるのは40代となります。

次に共働きで、夫はフルタイム・妻はパートとして働いた場合、20代での世帯年収は500万円弱にとどまり、世帯年収が600万円を超えるのは30代に入ってからということになります。

20代で出産・子育てをしたいと考えたとき、子育て世代に多い、夫フルタイム・妻パートという働き方や片働きの世帯では、出産・子育てしたいと思える年収を世帯年収が満たすことができず経済的不安につながる可能性があるのです。

一方で、夫婦共働きで夫も妻もフルタイムで働いた場合はどうでしょうか?

20代での世帯年収は600万円を超えており、これは、片働き世帯の40代の世帯年収を既に20代で超えていることとなります。

出産・子育てをしたいと思える年収600万円を満たすことができ、出産後も、社会保障給付による所得補償により妻が働けない期間についても所得の減少を最小限にすることができます。

もし20代で結婚子育てをしたいと考えるのであれば、夫婦ともフルタイムでの共働きという働き方は有力な選択肢となるでしょう。

男性が働き方を変えない限り、女性は働きやすくならない

では、夫婦ともフルタイムの共働きで働くという選択をするためには何が必要でしょうか?

ここでは両立について考えてみたいと思います。

以下に紹介させていただくのは、イー・ウーマン代表取締役社長の「佐々木かをり」さんが2013年にOECD(経済協力開発機構)のパリ本部で開催されたフォーラムで発言されたものです。

「日本には“紳士”が多すぎて、皆、女性に優しい政策をすすめてくれます。おかげで日本女性は、仕事を続けながら、育児も介護もさせていただくことになりました。男性の3倍、働くことになっているのです。このようなやさしさはこれ以上必要ありません。そろそろ男性の働き方、生活のしかたを変える番です」
引用:「女性活用」政策に“欠けた視点”とは

女性の両立支援や活躍支援が叫ばれるようになり長い月日が流れていますが、今もなお、両立に悩む女性は多くいます。

両立支援が叫ばれ、働き続けられる選択肢が用意された一方で、男性の働きかたは変わらず、男性と同じ時間働いたうえで育児や介護も担っているという現実があるのです。

つまり男性が働き方を変えないかぎり女性の両立支援は進まず、男性が働きかたを変えない働き方改革では女性の負担が増えるだけだということです。

もし、夫婦ともフルタイムの共働きを目指したいのであれば、男性は働き方、また家庭での役割も見直す必要があるのです。

そして、これを国という単位で働き方改革を実現するためには大きな力と時間が必要となりますが、一家庭という単位でみれば、あなたが男性であれば自分自身の意識を変え、働き方を変えれば、あなたの家庭の働き方改革は大きく進むはずです。

希望する働き方を選択していくための3か条

では最後に、これから新しい働きかたを選択していきたいと考えた場合の3か条について紹介します。

その①:旦那は夕飯までに帰宅し家族とご飯を食べるべし

女性の育児と仕事の両立を妨げる原因については、様々な調査がありますが、多くの調査で共通しているのは、「育児や家事に対して旦那の協力が得られないこと」です。

一人目の出産で懲りてしまい、「フルタイムではとても働けない」、「二人目の出産はとても考えられない」というのはよくあるケースです。

長時間労働で旦那が夕飯に帰れない日が多いような状況では、妻が働き方を変えていくのは不可能と考えるべきです。

妻の働き方を応援するのであれば、まずは、そのための余白を作る必要があります。

まずは、夕飯時にしっかり帰れるようにし、妻の声に耳を傾けましょう。

バランスはそれぞれです。
夫婦にとってちょうどいい、仕事や家庭での役割のバランスを見つけましょう。

もし同じだけ働いてもらいたいと思うのであれば、同じだけ育児や介護・家事を引き受けるということになるでしょう。

その②:“あそび”の時間をつくるべし

「とはいっても残業は断れない!」「仕事だからしょうがない」という男性の声が聞こえてきそうです。

もし、新しい働きかたを望まないということであれば、「そのまま今の働き方を続けてください」が私の答えです。

もし、今の働き方を変えていきたいということであれば、以下を参考にしてください。

まず、現在の残業を主体的に解決しようと考えたとき、あなたにできるのは自分の能力を向上させることです。

今の職場に残り労働生産性を向上させ早く仕事を終えるためにも、今の企業に見切りをつけ新しい職場に転職するためにも、自分で事業を起こすためにも、必要になるのはあなたの能力です。

今のあなたの残業があなた自身の能力アップにつながっているのであれば、期限を決めてスキルアップの期間にするのも良いでしょう。

しかし、実際は長時間労働がスキルアップの妨げになっていることの方が多いという点には注意が必要です。

日本の労働生産性は先進国の中で最下位と言われていて、日本より労働時間が短いヨーロッパ諸国の方が労働生産性は高いと言われています。

アイディアや創造性が求められる仕事では特に、私生活による経験・体験によるインプットの不足が仕事の生産性の低さにつながっていることが多いのです。

仕事外の時間を使い様々な情報に触れ、体験により体感すること、積極的学びの時間を作ることがあなたのスキルアップにつながります。

変化するためにはゆとり(あそび)が必要です。

残業に飲み込まれてしまい、時間に余裕がない状態では積極的なスキルアップは難しいと考えましょう。

惰性での残業は人生の無駄遣いと考え、自分のスキルアップのためになっているか向き合うべきです。

その③:兼業でビジネスを初めるべし

最後におすすめするのは兼業です。

兼業は兼業でも、私がおススメするのは、雇われての兼業ではなく、自営業との兼業です。

雇用されるという働き方を選択する限り、労働条件は会社との契約に基づくこととなり選択肢は制限されます。

しかし、自営業となれば労働契約の締結相手は自分自身ですので、全てを自分で決定することができるのです。

ただし、その分責任は大きいです。
儲かろうが儲かるまいが、仕事が忙しかろうが忙しく無かろうが全て自分の責任です。

その点、雇用契約は会社との契約により、一定の所得や労働条件を保証してもらっている状態といえます。

雇用契約と自営業、どちらもメリット・デメリットはありますが、大切なことは、両方を体験し知ったうえで選択するということではないでしょうか?

兼業での自営業は、小さくお金を掛けずに始めるのであればリスクはほぼゼロです。

リスクを小さく自営業を始めるというのは大きなポイントです。

自営業は最初から上手くいくことの方が少ないですから、自分の強みやスキルを生かしながらいろんなビジネスを小さく始め、失敗を繰り返しながら自分に合った働き方を見つけていけることは大きなメリットです。

国からの働きかけにより、会社が従業員の兼業を一律に禁止することは難しくなってきています。

もし、今あなたの会社で兼業が禁止されていても、今後、兼業が解禁される可能性もありますし、あなたがスキルを持っていれば、兼業可能な会社への転職も可能となるでしょう。

アドラーは、「人間にとっての幸福とは貢献感である」と言いました。

そして私たちにとっての最も身近な貢献の場は働くことです。

働く選択肢は雇用されることだけではありません。

定年退職するまでに自分の力で月5万円稼げる力を持っていれば、あなたは一生誰かのために貢献することが出来るでしょう。

あなたは貢献する場を自ら作ることが出来るようになるのです。

働く目的はお金を得ることだけではありません。
働くことは、あなたの幸せとも大きくつながっているのです。

最後に一言

働き方は多様化していて、どの働き方を選ぶかは個人の自由です。

しかし、今の働き方に納得がいかないのであれば、それはその働き方を選択しているあなたに責任があります。

あなたが選択し直さない限り、あなたの働き方は変わりません。

新しい働き方を手に入れるための唯一の方法は、正しく知ることと、勇気をもって選択していくことです。

もし今年の年末ジャンボで3,000万円が当たったら何がしたいですか?

その夢は、もしあなたが働き方を変えるのであれば当たり前に叶えられる夢かもしれません。

正しく知り、ちゃんと選んでいきましょう。
さあ、“かくめい”じゃ!

この記事の監修者プロフィール

原田 真吾
原田 真吾Earthrise社会保険労務士事務所 代表
プロフィールホームページ

学生時代、「満員電車の中の疲れきったサラリーマンにはなりたくない」との思いから「働き方」に興味をもち、労務管理唯一の国家資格である社会保険労務士の資格を取得。卒業後はワタミグループ介護事業に就職し、現場経験後、本社勤務スタッフとして経験をつむ。「働き方」と向き合う中で「働き方」の先にある「暮らし方」への感心が高まり、「地球一個分の暮らし」を目標として掲げる。人類が初めて地球の姿を共有したとき(Earthrise=地球の出)から、ちょうど50年の2018年にEarthrise社会保険労務士事務所を設立。「地球を愛する 地球に愛される」をあいことばに地球一個分の暮らしと、それを実現するための働き方を目指し活動中。