住宅ローンが返せないからといってカードローンを使って返済していいの?

カードローンを知る・学ぶ

急な出費や一時的な病気やケガで今月の住宅ローン返済がピンチになったとしたら、あなたならどうしますか?

なけなしの蓄えをくずして、あるいは実家に頼んで援助してもらうなどの手段が考えられます。でもそれができないとき、目の前には一枚のカードローンがある。

「今まで利用したことはないけれど、しょうがないから今回だけ…。」

住宅ローン返済のお金が用意できずカードローンを利用する人がいますが、これはいいのでしょうか?

正直に言うと銀行員としておすすめできません。というよりも、できる限りやめてください!

今回は住宅ローンが返せないからといってカードローンを使って返済していいのか?という疑問について、銀行員として多くの相談に対応してきた経験から説明していきます。

カードローンで住宅ローンを返済していいのか?

今回の「返済していいの?」という問いかけには2つの意味があります。

1つ目は「ルールとして許されるのか?」2つめは「銀行員としておすすめできるのか?」というものです。

今回はこの問いについて、一つの実例に沿って説明していきます。

<実例>
住宅ローンが返せないからちょっとだけなら、とカードローンを使っている人がいた。

窓口で聞いた私は「相談に乗りますからやめてください」とお願いしたが、その人は1回だけだから大丈夫と言って、私の言葉に耳を傾けてはもらえませんでした。

数ヶ月後、カードローンが延滞を繰り返すようになって連絡したところ、急に会社からリストラされて収入が途絶えたとのことでした。

まもなく住宅ローンの返済も遅れるようになりました。ご本人から住宅ローンの返済を一時的に減らすリスケ(リスケジュール)の相談がありましたが対応することができず、最終的に破綻してしまいました。(なぜリスケできなかったか?については後述します)

カードローンのルール(使い道)では許されるか?

カードローンの使い道(資金使途)は大きく2種類に分かれます。

①「原則自由。ただし事業資金は除く」と②「原則自由。ただし既往借入金の返済には使えません」です。

カードローンでは現在①のほうが多く、メガバンクなどはほとんど「原則自由。ただし事業資金は除く」の取扱になっています。

おまとめローンなどが一般的になって、カードローンの資金使途も昔と比べると、かなり柔軟になりました。

とはいえ、ルールというのはカードローンの規定、商品内容で決められた規則であり、このルールを破ると問題が起きてきます。

ルールを破ったらペナルティはあるのか?

既往借入の返済はできませんというカードの場合、そのルールを破ったことがバレてしまえば、最悪カードローンの全額返済を求められる可能性もあります。

例えば実例の場合「利用額は30万円だけど住宅ローン返済に使ったのは3万円だけ」といってもそれを証明することは困難です。

証明できない以上、ルールを破ったら全額返済となる恐れもあるわけです。

ルールを破ったことはバレるのか?

難しい問題ですが、バレるかバレないか?と言えば「バレる可能性が高い」と言えます。

詳細は言えませんが、銀行には調査手段がいくつもあり、いつどこでいくら利用したか、そしてそのお金がどのように住宅ローン返済に回ったのか、追跡して調べ上げることができます。

反論は認めてもらえない。証明もまず不可能

銀行が断定すれば「そんな筈は無い」と反論しても認めてもらえません。さらに「それなら証拠を見せてよ」と主張しても、極秘次項なので証拠は見せてくれません。

また個人では、銀行の判断を覆す証拠をそろえて証明することは難しいでしょう。

カードローンの規定では「債権保全上必要と判断した場合」には全額返済、取引解約を求めると書いてあるものが多く、今回のルール違反はこの「債権保全上必要と判断した場合」に該当します。

「事業資金以外は自由」なら問題なし~ただし要確認

事業資金以外なら自由という場合では、こう言った心配は無いと思われますが、詳しい規定は必ず規定書などで確認してください。

資金使途についてなど注意事項の表現は銀行によっていろいろあります。例えば「健全な消費資金に限る」といった表現などもありますので、HPや書面で判断に迷うときは店頭や電話などで必ず確認してください。

銀行員としておすすめできるのか?

これは繰り返しになりますが、銀行員としておすすめできません。というよりも、できる限りやめてください。

具体例や経験からおすすめできない理由を3つお話します。

理由その1.一度使うとやめられなくなる人が多いから

今回だけと思っても、現実にはそうもいかない人が多いのも事実です。

援助を頼む場合、いくら親兄弟でも頭を下げるのは誰でもイヤなものです。もしかしたら小言の一つも言われるでしょう。そうした煩わしさが家族でさえあります。

でもカードローンなら誰にも遠慮せずにすぐ使えます。こうして「やめられなくなった人」を数多く見てきました。

カードローンの利便性…いえ、こうなると魔力ともいうべき点が、悪い意味で発揮された結果です。

理由その2.すぐに限度いっぱいになるから

カードローンの限度額は30万円から50万円が主流で、これではすぐに限度いっぱいになってしまいます。

注意しなければいけないのは、毎月増えていく利息も限度を使っているという点です。

だから「今の利用額は29万円だから限度30万円まであと1万円使える」という考えは危険です。利息の分で枠が使えなくなっている可能性があります。

理由その3.自転車操業になり、全員同じ結末を迎えたから

カードローンは延滞すると貸越機能が停止し、借りることができなくなります。

こうなるとアテにしていたカードローンが利用できなくなり、住宅ローンも返済できず延滞、当然カードローンは延滞したままという状態に陥ってしまいます。

またこうなると、他に持っているカードローン(奥さん名義を使った人も)を利用して、それも限度いっぱいになって、最後はすべて払えなくなる。これがいわゆる「自転車操業」です。

今回と同じ内容の相談例はいくつもありましたが、全員同じ結末になりました。

※延滞がなくなれば、一般的には翌日からそのカードローンはまた利用可能になります。

ではどうすればいいのか?

では、どうすればいいのか?

銀行員として考えるのは「カードローンを使う前に、急いで銀行に相談に行く」これしかありません。

銀行への相談その1.1~2ヵ月なら返済を待ってもらえる

急な出費や病気、ケガなどのやむを得ない理由なら、前もって銀行に言えば返済を待ってもらえます。

ただし、本当にやむを得ない理由か?これを説明して銀行に認めてもらえないといけません(使いすぎて足りなくなった、クレジットなど他の支払を先に済ませたなどではダメです)。

また、支払できない間は延滞利息が加算されますし、信用情報に延滞の記録が残ります。長期になれば「異動」が信用情報に記録されてしまいますので注意が必要です。

銀行への相談その2.しばらく返済できないならリスケを頼んでみる

1~2ヵ月待ってもらうだけでは済まない場合、リスケ相談をしてみるべきです。銀行は皆さんが思っている以上に親切に対応してくれます。

ただしここで大事なのは、それまでにカードローンで住宅ローンを返済していないという点です。

もちろんカードローンで返済しても、まだ少額で両方とも返済できている状態なら問題はありません。しかし相談した時点でカードローンも(住宅ローンも)延滞している場合は問題です。

カードローンで返済して、それが延滞しているとリスケしてもらえないことも!

銀行がリスケをする前提は「真面目にやってきたがリストラや病気など不慮の事態で住宅ローンの返済が困難になった債務者を救済する」ことです。

この「真面目にやってきた」という定義はいろいろありますが、その一つに「カードローンなど借財がない、また仮に利用していても生活費の補填などやむを得ない使いみちである」というものがあります。

上記したようにカードローンを何に使ったのか証明するのは困難ですし、また住宅ローンの返済に使うというのは生活費の補填ではないので、いずれにせよ認められません。

カードローンを利用して、しかも延滞していると最悪の場合「遊興費にカードローンを使って借財があるから」と断定されてリスケしてもらえない可能性もあります。

まとめ

とにかくお伝えしたいのは、住宅ローン返済のためにカードローンは使わないでください!という一点です。

説明したように、銀行員としては決しておすすめできません。可能な限り避けていただきたいと強く思います。

しかしながら、どうしても利用しなければならない場合は、ご家族でしっかり話し合い計画的に返済するなど慎重な利用を心がけてください。

また、仕方なくカードローンで住宅ローンを返済する場合、銀行には知らせておくことをおすすめします。

銀行は顧客(債務者)から「困った、助けて」と言われた場合には無視をせず、そのときにできる最大限の救済をしなければならない、という使命があります。

もしかしたら、すぐにリスケ相談に応じてくれるかも知れませんし、そこまでしてもらえなかったとしても、銀行に相談したことはメモするなどで記録しておいてください。

相談した日時、応対した銀行員の氏名、相談の内容と銀行員の答えなどを記録しておくことは、自分にとって非常に大事なことです。

例えば延滞が重なって返せなくなった時、あるいはリスケ相談に行く際には、この時の内容がポイントになります。

「あのとき相談したのにアドバイスももらえず、助けてくれなかった」
「仕方なくカードローンで住宅ローンを返済すると伝えたけれど、それについて何も言われなかった」

本当に困った時、こうして銀行員の対応があとになって有利に作用することもあります。

銀行員として、本当はあまり教えたくないことですが皆様のために書きました。ぜひ参考にしてください。

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。