カードローンを本人以外の名義で借りることを勧められたらどうする?

カードローン申し込み

カードローンを本人以外で借りることをすすめられたらどうするか?

本人以外でカードローンを借りるのは絶対にダメです!銀行員(筆者)としておすすめできません。

ローンの申込みをしたけれど審査が通らなかったとき、銀行員など審査をする側から本人以外で借りることをすすめられる場合があります。

  • 本人に「異動」があったので審査に落ちた→奥さん名義でカードローンをすすめられた
  • 本人の収入や勤続年数が原因で審査に落ちた→奥さん名義で住宅ローンをすすめられた

上記した2つは私が銀行窓口で対応した実例です。

ローン申込みのときによくある話です。もしかしたらこの先、読者の皆様に起こることかも知れません。

今回は、本人以外でローンを借入する問題点や危険性を知ってもらうために、この実例を交えながらお話したいと思います。※正確にいうと「後始末の対応」です(詳細後述)

銀行員にすすめられても本人以外で借りるのは絶対ダメ~本人の場合

カードローンでも住宅ローンでも、本人では借入ができないので、配偶者(夫または妻)の名義で借りることを銀行員にすすめられる場合があります。

※今回のケースでは、本人を「夫」、本人以外を「妻」と仮定して説明します。

例えば住宅ローンの場合、借入できなかった本人が保証人となり、配偶者名義で借りるなど(男女逆も同じ)。

この場合、たとえ銀行員にすすめられても、本人以外で借りるのは絶対ダメです。それはなぜか?まず本人の場合から説明していきます。

夫婦の仲が悪くなると「支払いに協力しなくなる」

たとえばカードローンを本人(夫)が借りられないから代わりに奥さん(男女逆のケースも)が借りた場合、夫婦仲が悪くなると、本人(夫)が支払に協力しなくなります。

「なんて無責任なんだ!」と思うかも知れませんが、これは十分にあり得る話しです。しかも、この無責任な考えはまかり通ってしまうのです!

奥さんが借りたならそれは奥さんの借金

本人(夫)の代わりに借りたとしても、奥さんが借りたのならそれは奥さんの借金です。

カードローンは「無担保・保証人なし」が一般的ですので、保証人でない本人は逃げようと思えば逃げることができるのです。

またそこまで無責任でなくても、異動があって借りられなかったくらいですから、ほかに借金を持っているケースも多いものです。

奥さんに借りさせたカードローンで、本人の借金を清算していることも考えられます。この場合も、結局は都合よく使った挙げ句、本人が逃げるかも知れません。

しかし、事情はいろいろあってもあくまで奥さんの借金です。残された奥さんは自分で借金を返済しなければいけません。

夫婦の仲が悪くなると「居場所がなくなる」

今度は「本人は無責任ではなかったが、返せなくなってしまった場合」です。

カードローンでも住宅ローンでも、借金したのは奥さんです。返せなくなるとどうなるでしょう?

<カードローン>
返せなくなると代位弁済になります。夫の代わりに借りたのに、そのせいで自分が代位弁済させられたと考えるでしょう。

<住宅ローン>
返せなくなると代位弁済になります(保証会社付きローンの場合)。保証人扱の場合は、自宅の売却など、すぐにでも借金返済を迫られます。奥さん名義で借りたので自宅も奥さん名義です。返せなくなった場合、本人には文字通り居場所がなくなります。

夫婦が協力しても返せなくなったら破綻してしまう

カードローンでも住宅ローンでも、本人(夫)の代わりに奥さんに借りてもらって、協力して返済してきたとしても、結果的に返せなくなったら自分の居場所はなくなります。

仲が悪くなったのではなく、返せなくなったことで夫婦関係が破綻するといえます。

銀行員にすすめられても本人以外で借りるのは絶対ダメ~奥さんの場合

「銀行員にすすめられる」と書きましたが、それにはいくつかのケースが考えられます。

たとえば次のようなものです。

  • 銀行員のノルマがあって、1件でも多くカードローンを獲得したかったから
  • 本人が銀行員と話し合って(つまり結託して)考えた
  • 本人のためを思って、奥さんが自発的にカードローンを申込んだ

「銀行員のノルマ」「本人と銀行員が結託して」
→奥さんは悪くないケース

「奥さんが、本人のためを思って」
→奥さんは悪くないとは言い切れないケース

今度は奥さんの側から2つのケースに分けてお話していきます。

奥さんは悪くないケース

「銀行員のノルマ」「本人と銀行員が結託して」など、本人の意志に反する契約なら、場合によっては取り消しを求めることができます。ただし、注意点もあります。

「奥さんは悪くないケース」でも注意すべき点

契約した以上は本人の意志であるという点です。

いくら意志に反するといっても、契約書に自署捺印したのは奥さん本人です。ですから、その行為はあくまで自己責任ということになってしまいます。

夫から「なにも見なくていいから、ここに住所と名前を書いて」と言われ、夫を信用していたので本当に何も見ずに署名したとしても、そのことを認めてもらうのは困難です。

成人が自分で署名した契約を「知らなかった」と言い張ることはできません。また銀行員のノルマ、本人と結託したなどは、証拠がないと認めさせることは不可能です。

結論として、全くなかったことにするのはまずムリです。あとは裁判などに訴えるしかないと思います。

それとは逆に、脅迫・不正行為なら話しは別です。

  • 脅迫されて、あるいは暴力などで無理矢理契約させられた
  • 夫や銀行員が奥さん名義で代筆して契約した(悲しい現実ですが、こうした銀行員もよくあることです)

こうしたケースは犯罪・不正行為なので、証明できれば取り消すことが可能です。

余談ですが、銀行員が自分のノルマのために、本人と結託して奥さん名義で申込ませることも実際にあります。

本人はお金が必要なので、当然銀行員のいいなりになって奥さんを説得して申込みさせます。

こうしたケースでは、やはりもともとお金に困っていたために返せなくなる場合も多く、代位弁済や最終的に自己破産などになる人もいます。

そのときになって奥さんが「私は夫と〇〇さん(銀行員)にいわれたとおりにしただけなのに…」といっても、もうどうすることもできません。

銀行員は3年程度で転勤してしまいますし、そのあとに話しを聞かされる銀行員は同情することはあっても、どうすることもできないのです。

ちなみに転勤した〇〇(銀行員)のあとに話しを聞くことになったのが私です。このケースでは代位弁済→離婚→家族離散という結末を見ることになりました。

私自身は一度も本人以外で借りるようにすすめたことはありません。それは自分だけいい人ぶるのではなく、このときの苦い経験があったからです。

奥さんは悪くないとは言い切れないケース

上記したように、夫を信用しすぎた、契約書の中身を確認しなかったなどは自己責任として奥さんにも落ち度があるとされてしまいます。

また、奥さん自身もカードローンを使ったのなら、これはもうどうしようもありません。あとは離婚の調停など民事で解決するしかないでしょう。

「奥さんは悪くないとは言い切れないケース」でも注意すべき点

代位弁済などで個人信用情報に異動が登録されるのも、あるいは最終手段として自己破産するのも、あくまで奥さんだけという点に注意が必要です。

自己責任、自分の都合があったと諦められるならまだいいでしょうが、離婚したあとのことを考えるなら、これらはできる限り避けるべきでしょう。

奥さん自身が借入できなくなった場合、自立するうえで非常に高いハードルになってしまうかも知れません(たとえば住宅ローンは借りることができません)。

ただし、解決策として奥さんが他に借金するのは本末転倒なのは言うまでもありません。他から借りた借金は、今度はそれこそ奥さんの都合で奥さんの意志で借りたお金です。誰も救済してはくれません。

ではどうしたらいいでしょうか?たとえば実家に頼み込むなど、これ以上借金を重ねないようにするべきです。それが難しいなら、短絡的に借入を考える前に市役所など公的に相談できるところを訪ねてみることをおすすめします。

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。