生活保護受給者でもカードローンは借りられる?

カードローンを知る・学ぶ

厚生労働省「被保護者調査(概数)」によれば、2019年5月の生活保護受給世帯数は163万5049世帯、人数は207万8,707人となっています。

この数を見ればお分かりのように、全国で見て決して少なくない数字です。

景気が良くなったと言われてた昨今ですらこのような状況ですから、今後仮に景気が悪化した場合に生活保護受給者がさらに増加してもおかしくはありません。

また、老後資金2,000万円問題に見られるように、老後資金の確保が難しくなり生活保護を申請するといったケースも多くなるかもしれません。

こうした状況から見て、生活難に陥り、さらに借金を背負うというケースも想定されます。その際に、カードローンという手段を検討される方もいるかもしれません。

そこでこの記事では、生活保護受給者でもカードローンでお金を借りることができるのか?について解説していきたいと思います。

基本的に生活保護受給中はカードローンの利用は難しい

結論から言えば、生活保護受給中にカードローンを利用することは難しい、いや辞めた方がよいといえます。

生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を保障する仕組みであり、その方の自立を助長するために設けられています。

資産状況等から見て、最低限の生活を送ることができないときに国が支援する制度であるため、他に収入があるという場合には適さないことになります。

実はカードローンでお金を借りると、それを収入と見なされる可能性があります。その結果、生活保護費が減額される可能性があるのです。そのため、カードローンを利用すること事態を考えない方がよいといえます。

また、カードローンを新規に作成する場合には、返済能力があるかどうかの審査があります。生活保護受給者の場合、一般的には返済が難しいと判断され、その結果カードローンは利用できないといえるのです。

なお、生活保護受給者になる前に作成したカードローンならお金が借りられるかもしれません。ただし、振り込まれるお金が収入と見なされる可能性が十分にあるため、カードローンは利用しないことを頭に入れておくべきでしょう。

どうしてもお金を借りたいときはどうすればよいか?

生活保護受給者がどうしてもお金を借りたいときはどうすればいいでしょうか?

その場合には、公的な制度を活用することを検討しましょう。その公的な制度とは、「生活福祉資金貸付制度」です。

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や障害者、高齢者世帯において、生活資金等が必要になった場合にお金を借りることができる仕組みです。都道府県社会福祉協議会が実施主体となり、市区町村社会福祉協議会が窓口となっています。

このうち、生活保護受給者は、低所得を理由に生活福祉資金を借りることができます。

生活福祉資金は連帯保証人を立てることができるなら無利子で、連帯保証人が立てられない場合には年1.5%の利子によりお金を借りることができます。

生活福祉資金は4種類あり、それぞれで用途が決まっています。

1.総合支援資金

総合支援資金には「生活支援費」「住宅入居費」「一時生活再建費」の3つがあります。

生活支援費は生活再建までの間に必要な生活費用をまかなう資金です。貸付限度額は二人以上世帯で月20万円以内、単身者で月15万円以内、貸付期間は原則3ヵ月以内で最長でも12ヵ月となっています。

住宅入居費は敷金や礼金等、住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用であり、支援資金は40万円以内です。

一時生活再建費は滞納している公共料金等の立て替え費用などに利用できます。生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難である費用が該当し、支援資金は60万円以内となっています。

なお生活保護受給者は総合支援資金は借りることができません。

2.福祉資金

福祉資金は「福祉費」「緊急小口資金」の2つです。

福祉費は生業を営むために必要な経費や住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費、災害を受けたことにより臨時に必要となる経費などに利用できます。

資金の用途に応じて上限目安額が設定されており、最大で580万円以内となっています。

緊急小口資金は、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に貸し付ける少額の費用であり、借りられるのは10万円以内です。

3.教育支援資金

教育支援資金は「教育支援費」「就学支度費」の2つです。

教育支援費は低所得世帯に属する者が高等学校、大学または高等専門学校に修学するために必要な経費をまかないます。例えば、大学の場合には月6.5万円以内となります。

就学支度費は低所得世帯に属する者が高等学校、大学または高等専門学校への入学に際し必要な経費をまかないます。支援資金は50万円以内と定められています。

4.不動産担保型生活資金

不動産担保型生活資金は「不動産担保型生活資金」「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」の2つです。

不動産担保型生活資金は低所得の高齢者世帯に対し一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける資金です。土地の評価額の70%程度、月30万円以内といった条件があります。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金は、要保護の高齢者世帯に対し一定の居住用不動産を担保として生活資金を貸し付ける仕組みです。土地及び建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)を借りることができ、生活扶助額の1.5倍以内など条件があります。

こうした生活福祉資金貸付制度の福祉資金や教育支援資金を利用することで生活保護受給者でもお金は借りられます。

ただし、生活福祉資金貸付制度を受けるためには審査に通る必要があります。申込者の状況で審査結果は変わりますし、審査する社会福祉協議会の対応によって基準も異なります。

そのため、お金を借りる場合には社会福祉協議会に相談するとともに、実際に返済できる見込みが立てられるかどうかも確認すべきです。

生活保護受給者であることを隠してお金を借りた場合

なお、生活保護受給者であることを隠してお金を借りようと考える方がいるかもしれませんので忠告しておきます。

生活保護受給者であることがバレずにお金を借りられる可能性はあります。ただし、お金を借りることができたとしても、それを収入と見なされると、結局は生活保護の窓口である福祉事務所に届出を提出しなければなりません。

この場合、借りた額が生活保護支給額から差し引かれるため意味がありません(むしろ借金が増え不利になります)。

届出をしなかった場合には、生活保護費の不正受給と見なされる可能性があります。そうなると生活保護費の返還を求められる可能性がありますので、原則として生活保護受給中に公的な借り入れ以外は検討しないでください。

ヤミ金にも注意

もう一点だけ忠告しておきたいことがあります。それは、ヤミ金からお金を借りるということ。これも絶対にしてはなりません。

ヤミ金はお金に困っている人をターゲットに、法外な金利で貸し付けをおこなっている違法な業者です。生活保護受給者でもお金を貸すと話を持ちかけてくる怪しい業者には十分に注意してください。

お金に悩むと寄ってたかって悪い人達が群がってきます。そうした状況を作らないためにも、まずは生活保護の状態から脱却することを最優先に考えましょう。生活保護の身から脱却できれば、よりよい生活が待っているからです。

クレジットカードの発行も基本的には難しい

カードローンが難しければクレジットカードならばどうか?と考える生活保護受給者もいらっしゃるかと思うのでこの点についても忠告しておきます。

作れないと断言はできませんが、基本的にはつくることは難しいといえます。

クレジットカードにも審査があります。当然ながら収入の有無や返済できる能力があるかどうかが問われます。

クレジットカード作成の前提条件として、特定の会社などから継続して給与を得ているかどうかという点で生活保護受給者はひっかかります。

そのため、一般的に生活保護受給者はカードローンやクレジットカードのいずれも審査を通るのが難しく、もしカードが発行できたとしても返済が苦しくなり、その後の生活に支障をきたす恐れがあります。

なお、生活保護受給者でもデビットカードをつくることは可能です。デビットカードは、銀行口座にある資金の中から買い物をし、自動的に口座から資金が引き落とされる仕組みです。

これはお金を借りるといった側面ではなく、あくまでも持っているお金の中から利用するものですから、生活保護受給者でもデビットカードは作成できます。

買い物などの利便性を高めたい、通常使う費用から少しでも多くポイントを貯めていきたいというお考えであれば、デビットカードの作成はおすすめです。

生活保護受給が終わればカードローンの検討も可能になる

まとめると、生活保護受給中はカードローンやクレジットカードが原則として利用できないため、生活福祉資金貸付制度の利用を検討するか、なんとか日々の生活資金を生活保護受給分でまかなっていくしかありません。

ただし生活保護に甘えていては、より良い生活を送ることができません。まずは生活保護受給者からの脱却を目指すべきです。ポジティブに考え、ご自身の収入をつくれるようひたむきに努力するのです。

そして生活保護受給が終わり、働くことで安定した収入が見込めるようになるとカードローンやクレジットカードの利用も可能となります。

もちろん、お金を借りずに自分の力で生活していくことが第一です。カードローンはどうしてもやむを得ない場合など、普段の生活に支障をきたさない程度の一時的な利用なら便利に使える一方、ついつい借りすぎてしまうこともあるので使い方には注意が必要です。

普段の買い物などに利用するだけならばデビットカードの利用で十分でしょう。これであれば借金が増えるといったことはなく、誰でも安心して使うことができます。

この記事の執筆者情報

・伊藤亮太/スキラージャパン株式会社取締役
慶應大学大学院商学研究科修了後、証券会社にて営業・経営企画部門、社長秘書等を行う。また、投資銀行業務にも携わる。現在、資産運用と社会保障(特に年金)を主に、Fp相談・執筆・講演・を行っている。東洋大学経営学部ファイナンス学科非常勤講師。FP事務所代表。CFP(R)。2019年発売の監修本として『ゼロからはじめる!お金のしくみ見るだけノート』(宝島社)がある。