シングルマザーとお金~母子家庭のママが知っておきたい公的制度

お金の悩み

2015年の国勢調査によるとシングルマザーの数は約106万人を超えています。

うち未婚のシングルマザーが17万7千人と全体の1/6を占めており、前回調査より増加傾向です。

労働力率や完全失業率を見ると、一般世帯と比べて厳しい状況であることがわかります。

背景や環境、また考え方や価値観はさまざまですが、こうしたデータを踏まえて社会として変化を認識し、行政として取組みが始まっています。とりまく環境は徐々にですが整備されつつあります。

シングルマザーにとって、悩みや心配事が尽きません。とくに「お金」についての悩みは深刻です。とはいえ、生活に追われる日々に疲れ切っている事例も耳にします。

情報の多さと複雑さに加え、自発的に申請等しないと給付が受けられない、制度を知らない、利用しきれないなどの問題点は残っています。

国の制度だけでなく、お住まいの自治体や就業先による支援などの多くあります。代表的な制度、概要をご紹介します。

シングルマザーの公的制度~国としての支援策

ひとり親家庭等への「就業・自立に向けた総合的な支援」として、様々な取組みが実施されています。

こういった施策の多くは状況や課題の見直しをしつつ、国の基本方針に沿って各自治体が窓口となって推進しています。そのため、年度や地域により差がありますので、お住まいの自治体への確認が必要です。

支援は①子育て・生活支援策、②就業支援策、③養育費の確保策、④経済的支援策の4つの柱から成り立っています。

支援策①子育て・生活支援

平成27年12月、国は「すくすくサポート・プロジェクト」と称し、増加する経済的に厳しいひとり親家庭等の自立支援応援プロジェクトを発表しました。

主な事業は以下の通りです。

  1. 母子・父子自立支援員による相談・支援
  2. ひとり親家庭等日常生活支援事業
  3. ひとり親家庭等生活向上事業
  4. 母子生活支援施設
  5. 子育て短期支援事業

様々な支援策あるものの、多くの場合に所得などの制限があります。

また、シングルマザーの背景や環境は個人によって異なるため、溢れる情報のなかでどれが利用できるのか、対象外なのか、よく分からないと言った声が多い現状です。

そういった悩みを解決するために、相談や講習会への参加は第一歩として有効です。

「2.ひとり親家庭等日常生活支援事業」は、日常生活に対する支援としてぜひ利用したいものです。

収入確保のためダブルワークで子どもと向き合う時間がとれない、子どもの発熱でも仕事を休めないなど多くの事例がありました。ヘルパー派遣や保育園の優先入所、保育料の減免などの体制整備は有難いものです。

「すくすくサポート・プロジェクト」は、今までひとりで過ごす時間が多かった子どもたちに対し、学習支援も含めた地域としての温かい支援の実施を目指しています。

ひとり親家庭等に対する住居確保、公的住居の優先入居、民間住宅の家賃補助などの取り組みが進んでいます。

支援策②就業支援

  1. ハローワークによる支援
  2. 母子家庭等就業・自立支援センター事業
  3. 母子・父子自立支援プログラム策定事業
  4. 自立支援教育訓練給付金
  5. 高等職業訓練促進給付金
  6. ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業
  7. 高等学校卒業程度認定試験合格支援事業

上記のうち「1.ハローワークによる支援」では、マザーズハローワーク事業として子ども連れでも通いやすく、また保育行政との連携など、仕事と子育ての両立を前提とした取組みが実施されており、在宅での就業支援(必要な知識や実施方法、情報共有の場づくりなど)の支援も始まっています。

「4.自立支援教育訓練給付金」では、教育訓練講座(一般教育訓練給付の指定講座。簿記や介護職員初任者研修など)を受講した場合、その経費の一部が支給されます(※修了者に限る)。

「5.高等職業訓練促進給付金」は、看護師、介護福祉士、調理師など就職を容易にするため必要な資格の取得促進のため、受講期間について給付金が支給されます。対象は、養成機関1年以上のカリキュラムを修了し、その資格取得が見込まれる者。上限3年、支給額は月額10万円(住民税課税世帯は7万500円)。

専門実践教育訓練給付金…厚生労働大臣の指定する専門的・実践的な教育訓練(専門実践教育訓練)を受ける場合に、訓練費用の一定割合(50%、上限年間40万円)を支給。

教育訓練支援給付金…上記の教育訓練を受講する45歳未満の若年離職者に対して、訓練期間中の受講支援として、基本手当日額の80%相当額を受講中に2カ月ごとに支給。

「6.ひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業」は、ひとり親家庭の親であり、高等職業訓練促進給付金の支給を受ける場合に入学時に入学準備金50万円、修了し資格取得した場合に就職準備金20万円(要件により返済免除あり)。

「7.高等学校卒業程度認定試験合格支援事業」は、ひとり親家庭の親または子であり、より良い条件での就職や転職の可能性のための学び直志を支援。高校卒業程度認定試験の合格を目座す講座(通信制含む)、受講終了時給付金(受講費用の2割、上限10万円)、合格時給付金(受講費用の4割、上限15万円)。

支援策③養育費の確保

  1. 養育費相談支援センター事業
  2. 養育費等支援事業
  3. 面会交流支援事業

シングルマザーの生活費の不安解消や子どもの今後を考えた取り組みです。

離別の場合、子どもの養育費についての取り決めがきちんとされていない、口頭での取り決めや約束が守られない事例が多くあります。

支援センターでの相談業務や弁護士による法律相談や養育費確保に係る裁判費用の貸付け等は心強い支援ですね。

支援策④経済支援

シングルマザーが受取れる手当や支援として、一般的に思い浮かぶのは次のような経済支援でしょう。

  1. 児童扶養手当(母子手当)
  2. 母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

「1.児童扶養手当(母子手当)」は0歳~18歳(高校卒業)までの子がいるひとり親世帯が受給できる手当です。

月あたりにもらえる手当の額は、子ども1人の場合は42,910円、第2子+10,140円、第3子以降+6,080円(平成31年度)と、シングルマザー世帯にとっては「命綱」とも言える制度です。

2019年11月からは年6回(今までは年3回)になるので助かりますね。

ただし、子どもの人数と所得により支給額が変わること、区分により「全額支給」「一部支給」「不支給」となる点に注意が必要です。

また、所得についてはシングルマザー自身だけでなく、養育費や同居している家族(祖父母など、生計を一にしている場合)の所得も含まれますので、こちらも注意してください。

シングルマザーが受取れるお金は他にもある

ここまでお伝えした国が推進している支援策だけでなく、シングルマザーが受取れるお金は他にもあります。

ひとり親家庭のための制度や自治体による制度、一般的な制度でも該当すれば対象となります。

病気になった時

1.ひとり親家庭の医療費助成制度
対象は0歳~18歳(高校卒業)までの子がいる世帯の親および子ども。受診の際の自己負担分を助成。所得制限あり(自治体による)。

2.こども医療費助成
対象は子どものみ(自治体により、就学前、小学生まで、中学生までとバラつきあり)。シングルマザー世帯のための制度ではありませんが、1.について所得制限等で利用できない場合に活用できるでしょう。

子どもが障害をもつ場合

1.特別児童扶養手当
給付額は子どもの数と障害の程度により異なる。所得制限あり。

2.障害児福祉手当
14,790円/月(平成31年度)常時介護を必要とする20歳未満の子がいる場合。所得制限あり。

配偶者と死別の場合

1.遺族基礎年金
18歳到達年度末日未満(高校生)の子がいる場合。受給要件あり。満額780,100円(平成31年度)。

2.遺族厚生年金
被保険者が死亡した場合。生計を維持されていた遺族に支給。受給要件あり(報酬額による)。

3.寡婦年金
自営業等(第1号)の被保険者が死亡した場合。本人および配偶者に要件あり。

4.死亡一時金
上記いずれも受給できない場合など。

児童育成手当

0歳~18歳(高校卒業)までの子がいるひとり親世帯が受給できる手当です。

自治体により、要件や金額が異なりますので確認してみましょう。

※東京都の場合…子ども1人につき13,500円/月(平成31年度)

生活保護制度

資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)
引用:生活保護制度|厚生労働省

生活保護の申請をすると、保護決定のための調査を経て、基準に基づいた最低生活費から収入(年金や就労収入等)を引いた額を保護費として毎月受取ることができます。

まとめ

一般的な経済支援についての情報はネット上でも見かけますが、貰えると思っていた手当が所得制限や人数、制度の重複受給不可などでもらえなかったという事例が多くあります。

また、各自治体によっても差異があること、制度として整いつつあるけれどもまだ発展段階であることなど認識しておく必要があります。

自分の場合はどうなのか、キーワード検索などで確認するか、お住まいの自治体窓口に相談することをお勧めします。

所得制限を気にしつつ手当を受給するのも、支援策を活用しながら知識とスキルアップするのも、どちらも選択肢として有効です。

今は子どもとの時間を大切にしたいから、節約しながら仕事を最低限にして手当を受取るのもひとつです。

自分にとって何を優先するか、自分の価値観で考えることが大切です。

ネットのクチコミにはさまざまな情報が溢れています。参考にできる意見もありますが、あくまでもその人の価値観である、という認識をもって、情報の取捨選択ができるようにしたいものです。

でも、行動しないことにはなにも変わりません。まずは「知ること」が大事。情報収集のアンテナの感度を上げることから始めてみませんか。

この記事の執筆者情報

・大竹麻佐子/ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て起業。家計管理に役立つかも?と軽い気持ちでファイナンシャル・プランナー資格取得。日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。「お金に向き合うこと」「不安の正体を知り、理解することで、より豊かに自分らしく生きる」を全力でサポートします。個人相談を中心に講師、執筆活動をしております。CFP🄬認定者、相続診断士。