カードローンの利用で信用情報に傷?自動車ローンや住宅ローンへの影響

今ではテレビのCMなどでも毎日のように目にする機会があるためか、私たちの生活にとても身近な存在となりつつあるカードローン。
「カードローンって結局借金でしょ?消費者金融と大差ないしイメージが悪い」正直でもっともな気持ちだと思います。誰もが、カードローンを利用するときに躊躇し、後ろ暗い気持ちを抱えてしまうのではないでしょうか?
人生は思わぬアクシデントがあるもの。カードローンを利用している人たちが、真面目に働いていないわけでも、浪費家のわけでもないのに金銭的に困窮してしまう時期も長い人生の中ではありますよね。
そんなときにカードローンを利用して窮地をしのぐことは決して悪いことではないと思うのです。ただし、カードローンが他のローンを組む際に与える影響や、支払い遅延が起きたらどんなペナルティがあるのか?など自身に及ぼす影響などを知らずしてカードローンを安易に利用とするべきではないのです。
この記事では、カードローンの利用で信用情報に傷が付くのか?について解説します。
カードローンを利用しただけで信用情報に傷がつく?
カードローンを初めて利用される方の中には「カードローンを利用したら、信用情報に記載されてしまうのだから、後々に不利な情報として信用情報の傷になりかねないのではないか?」と心配する人がとても多いのですが、答えをズバリ言ってしまえば「NO!」です。
「信用情報の傷」とは、平たく言うとするならば、支払いの遅延や自己破産・任意整理をはじめとする法的な債務整理を利用した場合など特殊なケースだけです。
「カードローンを利用し、毎月きちんと支払いをしている」これは、クレジットカードのリボ払いや回数指定払いを利用していることとなんら変わりありません。
むしろ、クレジットカードは持っていないし、携帯の分割契約を利用したこともなければ、一切ローンの類を利用したことがない現金主義の生活をされている人のほうが、カードローンの利用申し込みをした場合、審査に落ちてしまうことが多いことは意外と知られていない事実です。
不思議に思いますよね?しかし、個人信用情報機関に一切の履歴の登録がなければ「判断しようがない」のです。利用したことがないのだから当然ともいえますが、信用情報に一切の記載がないことは、初めてローンを組む際に極めて不利だといえます。
では、反対にカードローンを利用し、毎月支払い期日にキチンと支払っている人の信用情報はどうでしょう。「この人は、カードローンの支払いをキチンとしている信用がある人だな」むしろ、カードローンを利用したことで登録された利用履歴がプラスの情報として扱われるのです。
住宅ローンなど、収入の何倍もの高額なローンを組む際には、カードローンの利用残高がある場合、完済を提案される場合も多いですが、それは住宅ローンが高額だからこそで、カードローンを利用していたこととは何ら関係ありません。
カードローンの利用は、毎月の支払いが遅れていなければ、信用情報に傷が付くことなど絶対にありませんので安心してくださいね。
信用情報とは?
信用情報とは、個人信用情報機関に登録されている個人の利用・支払い状況履歴のことをいいます。
あまり聴き慣れない言葉ですし、ちょっと怖い感じがするなんて印象を持たれる方も多いかもしれませんが、現在では、ほとんどの方が個人信用情報機関に取引履歴が掲載されているのです。
「自分はクレジットカードも持っていないし、ローンも組んでいないから関係ない。」と思っている方もいるかもしれませんが、ではスマートフォンや携帯電話はお持ちではないでしょうか?
現在では、キャリア契約時に機種代金を24回の分割契約で購入するスタイルが主流となっています。スマートフォンやガラパゴス携帯の機種代金分割契約もローンにあたるのです。
個人信用情報機関には、現在いくらの購入代金やカードローンの残高があり、毎月の支払いがきちんとされているのか?を毎月の支払い完了後に情報として更新登録していきます。
この情報こそが、クレジットカードの新規加入やカードローンの新規借り入れ、マイカーローンの新規契約や住宅ローン審査の軸として重要なものとなるのです。
日本にある3つの個人信用情報機関
日本にある信用情報機関は、㈱日本信用情報機構(JICC)、㈱シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)の3社です。
クレジットカードを発行している信販会社や消費者金融、銀行をはじめとする信用金庫などの金融機関によっても加盟している情報機関は異なりますが、自分が利用している会社がどの個人信用情報機関に加盟しているかはホームページなどで確認可能ですので気になる方は調べてみてくださいね。
㈱日本信用情報機構(JICC)
信販会社、消費者金融、クレジットカード会社全般、携帯電話会社、リース会社などが加盟し、情報の登録を行っています。
㈱シー・アイ・シー(CIC)
信販会社、消費者金融、クレジットカード会社全般、携帯電話会社、リース会社などが加盟し、情報の登録を行っていますが、日本では個人信用情報機関=CICといわれるほど金融機関の利用頻度の高い個人信用情報機関といえます。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
銀行が取り扱っている各種ローンの申込情報や契約に関する情報が登録がされます。
加盟している信用情報機関が違えば他社の遅延は問題ない?
では、「自分が利用している信販会社や銀行などの加盟している個人信用情報機関が違えば支払いが遅れてしまった情報はバレないのではないか?」素朴な疑問だと思います。
例えば、ご自身が利用しているカードローン。発行している会社が加盟している個人信用情報機関がKSC(全国銀行個人信用情報センター)だったとします。
新たにクレジットカードのキャッシング機能を利用したい!しかし、カードローンを利用していて支払いの遅延をしている(もしくは過去に遅延していた)場合、例え異なる個人信用情報機関に加盟している信販会社などであったとしても、新規でクレジットカードなどのキャッシング審査に落ちてしまう場合があります。
「えっ!どうして?」不思議に思いますよね。なぜなら加盟している個人信用情報機関は違えども情報自体はCRIN(Credit Information Network)システムで共有されているのです。
CRINシステムとは、CIC・JICC・KSCの3社が提携し、相互に連携している個人信用情報の情報交流ネットワークです。簡単に言ってしまえば、CICに加盟してさえいれば、JICCやKSCの情報を見ることが可能なのです。
CRINシステムが生まれた背景には、私たち利用者を守る目的があるとされています。
「利用者を守る?不利な情報を共有することのどこが守るなの?」と思われる人もいるかもしれません。しかし、信用情報が共有されていなかったとしたら、年収以上、もしくは年収を遥かに超えたローンを抱えることが容易に想像できます。
利用する際には、その後支払いに苦しむ自分の姿など想像しませんが、実際に利用したカードローンなどには、決して安くはない利息がかかります。
利息の計算例
10万円借入、年利14.5%で30日利用した場合…
10万円×14.5%÷365日×30日=1,191円
気が付いたら、毎月の支払いが収入だけでは足りず、カードローンなどで支払いを工面する悪循環に陥ることは珍しいことではないのです。
カードローンなどの利用総額が高額になりすぎた故に起こる支払いの遅延や、消費者の生活破たんを未然に防ぐためには必要不可欠なシステムともいえます。
支払い遅延は、他のローンを希望する際に必ず大きく影響します。また、遅延した事実は簡単に分かってしまいますので、絶対にしないようにしましょうね。
カードローンの利用で信用情報にネガティブな情報が掲載される場合
個人信用情報機関に最も多く記載されているネガティブ情報は、支払いの遅れがあった場合の遅延情報です。
特に3ヵ月を超える長期の支払い遅延は、カードローンを発行している銀行などから保証会社へ債務譲渡が行われ、遅延+異動情報として掲載されます。
この情報は個人信用情報機関に最長5年間は登録され、新たなカードローンの審査には通らなくなるといえます。
また、自己破産・個人再生・任意整理などの法的債務整理を行った場合にも、その事実が最長5年間(kscは官報情報ありで10年)は登録されますので、同様に新たなローン審査には通らない状態となります。
ネガティブ情報は、マイナス要因が非常に大きいと言わざるを得ません。
安易な支払い遅延が思わぬ傷を生む
では、「自分は一週間以内の延滞しかしていないから大丈夫!」と安易に考えて良いのでしょうか?
例え1日の遅れだったとしても遅延には変わりありません。ましてや毎月のように支払いの遅れがある場合には、長期遅延でなくとも個人信用情報機関へ情報が掲載される場合がありますので、支払いの遅れは安易に考えてはいけません。
例えば、「自分は一年間で支払いが遅れてしまった月が3回あったけど、信用情報を開示してみたら遅延情報が記載されていなかった。だったら、短期の支払い遅れは許されるのだろう」と勘違いしてしまうかもしれません。
しかし、個人信用情報機関に遅延情報を記載しなかったのは、金融機関をはじめとする取引会社の恩情に他ならないのです。いつ記載されてもおかしくない状態であると言わざるを得ません。
「たった3日だから」を繰り返し、金融機関の堪忍袋の緒が切れてしまった場合、信用情報機関への情報記載は容易です。
毎月支払い情報が更新されていったとしても、その事実は2年間消えません。その間は住宅ローンやマイカーローン (自動車ローン) などの審査に通らなくなってしまうなど、信用情報の傷となってしまうリスクがあります。必ず支払い期日を守りましょう。
期日までにどうしても支払えないときは?
人間が生活をしていれば、病気やけがなど思わぬトラブルは尽きません。それによって収入が途絶えてしまうことは、誰もが考えられることです。
そんなときに、毎月のカードローンの支払いができない状況が生まれてしまう場合もあるかもしれません。
やむを得ない状況でどうしても支払えないときには、支払い期日よりも前に利用している銀行などの金融機関や信販会社に連絡しましょう。
前もって連絡しておけば「必ず期日までに支払え!さもないと差し押さえや全額返済させるぞ!」などと恐喝まがいの要求する会社など、個人信用情報機関に加盟しているような会社なら、まずありえません。
逆に「利息だけなら支払えますか?」など、現状支払える金額で相談に乗って下さるなど、驚くほど親身になって相談に乗ってくれることのほうが多いので、怖がらず必ず連絡することを心がけてくださいね。
カードローンを利用していることで他のローンに影響はある?
「カードローンが他のローンを利用する際に影響するのか?」と聞かれたら、「YES」と答えざるを得ません。
カードローンやクレジットカードなど、年収を下回るローンの場合、現在の他社借入総額がよほどでない限りあまり影響はありませんが、住宅ローンやマイカーローン (自動車ローン) などの場合、他社借入との返済比率(*)から審査をする傾向がありますので、カードローンの利用は大きく影響するといえます。
生涯の買い物のうちでも特に大きな買い物とされる、住宅と車のローンについては、さらに詳しく解説いたします。
(*)返済比率については、下記の章で詳しく解説していますので参考にしてください。
住宅ローンへの影響
生涯で一番大きな金額の買い物と言われているマイホーム。購入金額こそ、お住いの地域で違いますが、数千万単位であることは間違いありません。
高額であるからこそ、住宅ローンの審査は、他のローンとは異なり厳しいと言わざるを得ないのです。
信用情報に遅延情報や異動情報がある場合には、絶対に審査に通ることはないですし、ネガティブな情報が一切ない人でも、住宅ローンの審査に通らないことは多々あるのです。
ネガティブな情報がないにもかかわらず、住宅ローンの審査に通らないのは、カードローンやクレジットカードのリボ払いの利用残高が大きいことが影響していることは意外と知られていません。
高額な住宅ローンだからこそ金融機関は「住宅ローン以外にローン支払いがない状態」を求めます。そのため、住宅ローン契約の条件として、カードローンやクレジットカード、マイカーローン (自動車ローン) の残債務の完済を条件とされるケースが非常に多いのです。
残債務がなければあまり影響はないと考えられますが、カードローンやクレジットカードは解約を求められる場合があります。たとえ現状で一円も残債務がなかったとしても、カードローンやクレジットカードに利用枠が設定されているというのはいつでも借り入れができる状態と判断されてしまうからです。
住宅ローンの借り入れを検討している場合には、完済したカードローンや使用していないクレジットカードは解約しておくことが、住宅ローン審査を通過するための最善策ともいえます。
住宅ローンを組んだあとにカードローンやクレジットカードは使える?
住宅ローンの審査に通り、新たにカードローンやクレジットカードの新規申込みをすることは問題ありません。なぜなら、住宅ローンは貸付後に再度審査が行われることはないためです。
カードローンなどは途上与信(中間審査)として借り入れ後利用枠が増減することがありますが、住宅ローンには途上与信の確認はありません。
カードローンを申し込んだ際に、他社借入の金額を告知することが必要となりますが、住宅ローンは他社借入金額には含まれません。クレジットカードの商品購入金額のリボ払いも同様です。
そのため、住宅ローンの審査を通過したあとに新たなカードローンを申し込んでも、住宅ローンが原因でカードローンの審査に通らないといったこと自体、可能性としては極めて低いことですので、もしもカードローンの審査に落ちてしまった場合には、その他の支払いに遅れがなかったかを調べてみる必要がありますね。
住宅ローンを利用するときに金融機関は必ず返済負担率を計算します。返済負担率とはあなたの住宅ローンが1年間の収入の何割になるのかと計算します。おおよその目安としては25%くらいが良いでしょう。しかし、家計の状況によって返済負担率は変わります。例えば、年収500万円、毎月の返済額10万円(ボーナス払いなし)の場合…10万円×12ヵ月÷500万円×100=24%となります。計算してみてください。住宅ローンだけではなく、他の借入も加味しておきましょう。"
自動車ローン(マイカーローン)への影響
マイホームの次に大きな買い物といえば、車を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
車とマイホームとの違いは、金額もさることながら、一番大きな点として挙げるとすれば「車は、あくまでも消耗品に過ぎない」ということではないでしょうか?
そして、車の購入金額は車種によっても大きな違いがありますよね。全体的に考えると、やはり高額な車であればあるほど、住宅ローン同様に審査は厳しくなっていくと言わざるを得ません。
ただ、マイカーローン (自動車ローン) に関しては、給与振込を指定の銀行などでは融通してもらえる可能性が高い傾向があります。
ローンを申し込む際にメインバンクとして普段から定期的に利用している銀行を選択することで返済計画などの相談もしやすく、金利や支払い回数についても最大限の希望が通る場合が多いといえるかもしれません。
カードローンの利用時に知っておきたい返済比率とは?
返済比率と聞くとすごく難しく感じてしまいますよね。私たちの生活の中で、返済比率を自ら考えて、カードローンやクレジットカードを利用することは非常に大切なことですが、現実的に考えると、なかなか難しいことだと思います。
けれど、貸付を行っている側の銀行や信用金庫、消費者金融や信販会社では、新規貸付け審査の際に返済比率を重要視しています。カードローンや消費者金融のCMなどで「ご利用は計画的に!」と強調しているのは、返済比率に由縁しているとも言われています。
では、返済比率としてどのくらいの比率がベターとされているのか?それはズバリ30%です!
例えばあなたの年収が500万円だとします。返済比率30%とは(500万円×0.3=150万円)となり、毎月の支払い額としては12万5千円が毎月の支払い総額として理想的となるのです。ただし、この金額には住宅ローンや毎月の家賃なども加味されてきますので注意が必要です。
カードローンの審査に落ちるときは返済比率オーバーの可能性が高い
「カードローンを借り入れたくて、給与の振込をしている銀行に融資の申し込みをしたけれど断られてしまった。給与振込をしている銀行ならば、カードローンの借り入れができると期待していたのに…」がっかりしてしまう気持ちもよく分かります。
なぜなら銀行カードローンを利用する場合、毎月の大切なお給料を振り込んでいる銀行は最も有利な借入先と考えられるからです。給与口座なら「毎月この人にはきちんと収入があって、もう何年もおなじ会社に勤めているのだろう」ということまで分かりますよね。
社名変更などのイレギュラーなケースでも発生しない限りは、毎月同じ名義からの振込など、副業や特殊な資産運用をしている場合でもない限り、あまりない状況ですから。
では、なぜカードローンの審査に落ちてしまったのか?そこで、他のローンでの支払いの遅れの次に考えられるのが返済比率なのです。毎月の支払金額が収入とほぼ同じ状態だとしたら、やがて借金を借金で返す自転車操業状態を招きかねません。
もしも、メインバンクでのカードローンの審査に落ちてしまったら、返済比率がオーバーして毎月の支払いが困難となり、生活自体が破綻しないように事前にストップをかけてもらったとポジティブに考えるべきかもしれませんね。
カードローンは計画的に利用すれば信用情報に傷はつかない
個人的な意見になってしまうかもしれないけれど、私は生活する中に起きるピンチの状況をカードローンに救ってもらうことが、ちっとも悪いことだとは思いません。
「今は一括で支払えるお金がないけど、どうしてもこの商品が欲しいから分割支払いで返していこう」ということと、何ら変わらないと思うからです。
しっかり返済していく意思と生活態度であれば、何のマイナスも生みません。ましてや返済に遅れたこともないのに、信用情報に傷がつくことなど有り得ないのです。
明日、何が起こるかは誰にもわからない。それは、誰もが皆同じです。そんなときにピンチを救ってくれたカードローンを毎月きちんと返済して、完済した状態だったとしますよね。
「もう絶対に二度と借りない」と心に決めているかもしれません。しかし、ご本人やご家族の病気やけがなどでお金が必要になったときには、コツコツ返済してきたカードローンがあれば、またピンチを乗り切ることも出来ます。
誠心誠意、返済をしていれば個人信用情報機関に更新されていく利用や支払いの情報は、あなた自身の信用として認めてもらえるのです。
頑なに考える必要などありません。カードローンと上手に付き合うことは今を生きる現代人の知恵のひとつなのですから怖がる必要などありません。安心してくださいね。