親が勝手にカードローンを使った!銀行に信じてもらえるか?

カードローンを知る・学ぶ

「自分のカードローンなのに、無断で親に使われてしまった。」私が銀行窓口で対応した20代前半男性のケースです。

親が勝手に使ったのだから自分は返したくないという理由で延滞していました。

今回はこの相談に沿って説明していきます。結末は不幸なものでしたが、皆様はそうならないようにぜひ参考にしてください。

親が勝手に子どものカードローンを使えるか?

親が勝手に使ったと本人は言いましたが、親は「知らない、使っていない」と反論し、言い分は真っ向からぶつかり合い話が進まなくなりました。

最初にカードローンを申込んだのは本人で、過去には自分で使ったこともありましたが、ある日、同居の親が自室に置いた財布からローンカードを抜いて、勝手に使ったあとで元に戻したらしいとのことでした。

勝手に使うことは可能か?

まず「勝手に使うことは可能か?」ですが、銀行員として私は「同居している親なら可能」だと思います。

その根拠はいくつかあります。

親ならカードの在り処も知っている

同居している人、しかも親なら本人が大事なモノをどこにしまうかわかるでしょう。

もちろん机の上などに置きっぱなしにしていたならそれまでです。

暗証番号も親なら推理可能

銀行では暗証番号を生年月日や電話番号などにしないよう注意喚起しますが、本人が希望する場合には生年月日でも可能です。

ただしこの場合、何か被害に遭ってもすべて自己責任になります。

親なら生年月日を知らない筈はないですし、また借入をしたかったが忙しくて親に頼んだことがあったなら、そのときに暗証番号を教えているはずです。

インターネット経由で借入すると本人口座に振り込まれますので、親は使うことができません。

勝手にカードを使う時はATMから現金で引き出す手口がほとんどですので、暗証番号を知られていたなら、もう防ぎようがありません。

親が子ども名義のカードローンを勝手に申込むことは可能?

ところで、親が子ども名義のカードローンを勝手に申込むことはできるのでしょうか?

現在では無理だと思います。個人情報保護法など法律が整備され、本人確認は厳しくなっています。

ですから、親が本人になりすましてカードローンを申込み、そのまま利用することはまず不可能です。

しかし、これも絶対に不可能とは言い切れません。

少額かつインターネット経由なら勝手に申込まれてしまう?

申込み金額が10万円未満など少額なら本人確認や在籍確認も緩くなります。

また免許などの本人確認資料は、親なら勝手にコピーすることもできるでしょう。

最近では返済用銀行口座が不要というものもあるので、インターネット経由なら勝手に申込まれてしまうかもしれません。

ちなみに、私の銀行ではローンカードを郵送する際「本人限定」で送付しますので、本人以外はたとえ家族でも受取ることはできません。

しかし、すべての金融機関がそうとは限らないので注意が必要です。

銀行員は勝手に使われたことを信じてくれたのか?

今回のケースでは銀行員(私)は信じませんでした。

いえ、信じられなかったというほうが正しい表現です。

理由その1.本人が気づかないことが信じられない

カードローンで借り入れをすると、利用明細が本人宛に送られて来ます。

これは借入していることを本人に認識させるためと、相談例のように勝手に使われていた場合に、それを本人に気づかせる狙いもあります。

「家族に内緒で」「明細は送られてきません」と宣伝しているカードローンもありますが、それでもスマホやパソコンに利用情報が送られて来るのが普通です。

また本人がアクセスして利用状況を確認するものもありますが、これも長期間アクセスがなければ、何かしら銀行からアクション(手紙など)があります。

以上より、自分が気づかないうちに勝手に借りられていた、との言い分は信じられなかったのです。

理由その2.督促に答えているのだから知らなかったとは信じられない

この人はカードローンを延滞していたので、本人の携帯(申込み時の電話番号は携帯)にその旨連絡したことがあり、本人がすぐに払うと答えていました。

この時には親が使ったなどとは言わなかったことから、やはり信じられませんでした。

銀行はトラブルへの対処のため、カードローンなどの延滞を連絡した会話の内容は詳細に記録しています。

相談例のように、あとでつじつまが合わないと問題になりますので注意してください。

理由その3.銀行にはウソをつけない

銀行ではカードローン利用などを調査する手段はいくつもあります。

本人から相談があった時点で、その言い分につじつまが合わない部分があることが、私にはわかっていました。

調査方法の詳細は言えませんが、ウソやいい加減な申し出はいずれ見透かされてしまいます。

相談の結末~真実はわからないまま

相談に対する銀行の結論は「本人の言い分を受け入れることはできない」というものでしたので、そのあとは通常の延滞者と同様の対応をしました。

親が勝手に使ったという点に銀行は関与せず、身内で話し合って欲しいとして、返済猶予など救済措置もしませんでした。

最終的にカードローンは延滞が重なって返済できなくなり、代位弁済になりました。

そのあとは本人と接触する機会がなかったので、真実はわからないままでした。

本当に勝手に使われてしまったらどうすれば良いのか?

では、これをご自身に置き換えて考えてみてください。

本当に親が勝手にカードローンを使ったとしたら、どうすれば良いのでしょうか?

もしそれが真実だとしたら、法的手段を検討する必要があると思います。

親といえども法的手段で訴える

いくら親でも勝手に子どものカードで借金をして、それを返さないのなら、これは犯罪行為だと思われます。

警察に届け出るか、弁護士に相談すべきです。

ただし証明は難しいですし、また相当の覚悟が必要になります。

自分は潔白だと証明するのは非常に困難

銀行など金融機関に対し勝手に使われたことを証明するのは大変です。

「銀行員は信じてくれたか?」でも述べましたが、多くの情報を保有している銀行を納得させるにはしっかりした証拠が必要です。

銀行でさえそうなのですから、弁護士に信じてもらうにはさらに詳細な証拠を集める必要があります。

しかしながら、この証拠集めがまた困難なのです。

まず、気づいた時には勝手に使われていたのです。もし親がシラを切るなら、それを証明するのはもっと困難になります。

もし証拠がなく弁護士を納得させられないのなら、これが警察ならもっと無理です。

基本的に民事不介入ですので、おそらく「ご家族で話し合ってください」と言われるのが関の山でしょう。

<参考>防犯カメラは一般人に見せてくれない
ドラマなどで防犯カメラの映像を調べる場面があります。

また今回と同じ内容のネット記事でも「防犯カメラを見たら親が勝手にATMで出していた」というモノがありましたが、これは信じられません。

銀行、コンビニなど防犯カメラの映像は機密情報です。個人の依頼で簡単に見せるなどあり得ません。

もし警察が訴えを受理して、犯罪捜査の一環でなら可能性はあります。逆にそれくらいでなければ見ることはできないのです。

このように、証拠集めは非常に難しいということを覚えておいてください。

管理義務を怠ったと責任を問われる

カードを勝手に使われたり、暗証番号を盗用されたりすると、管理責任を問われる可能性があります。

「勝手にカードを使われたのは、あなた自身がだらしないから」

酷な表現ですが、このように自己責任だとして支払義務を免れない可能性もあります。これはキャッシュカードのスキミングと同じです。

カードを放置したり、簡単に盗まれるようなところに置いたり、あるいは暗証番号を生年月日にしたりすると、やはり自己管理が不十分としてカード被害を補償してもらえない場合があります。

法的手段以外の策は?自分で払う

もし支払いが可能ならば泣き寝入りして自分で払うことも考えられます。

それで丸く収まるなら、あとは自分の気持ちの問題だけだからです。

ただし、他にも勝手に借りられているかもしれないので、自分の信用情報は調べておいた方が良いでしょう。

これ以上キズを広げないよう停止してもらう

まず、金融業者に連絡してカードローンの利用を停止したほうが良いでしょう。

これ以上は自分名義の借入ができないようにするのも対策の一つです。

ただし、本当に自分が借りたいときにも使えなくなっていますので、これは諸刃の剣となる可能性があります。

それでも間に合わなければ自己破産

最終手段として自己破産を検討することも必要です。

親の行為が立証できなければ借金から逃れることはできず、もしかしたらもっと増えるかもしれません。

しかも債権者はあなたの借金として督促してきますので、自己破産を視野に入れることも必要になります。

もし親の行為が立証できたならば、自分が自己破産に追い込まれたことも含めて訴えることもできます。

しかし親に損害賠償を求めたとしても、相続人の一人は自分なので、結局は自分で自分を傷つけることにもなりかねません。

失ったモノは多く、取り戻すことは不可能に近いでしょう。

まとめ~どうするのがベストか?

とにかくお伝えしたいのは、一刻も早く自分の身の潔白を証明することです。

また受理してもらえなくても警察には届け出たほうが良いでしょう。届け出た記録は残るはずです。

銀行では本人から依頼があればカードローンの利用記録を長期間にわたって調べ、結果を教えてくれます。

カードローンを利用停止にして、傷が広がらないよう予防策を講じれば時間的にも精神的にも余裕ができますので、利用記録と自分の記憶(日記などアリバイ的な記録があるとベター)をたどって、身に覚えのない借入記録がないかチェックして、文書に残すのも良いでしょう。

なお私が勤務する銀行の場合、本人からの依頼であれば原則何年前の記録でも調べて開示します。

利用記録にはその日付と、どこで出金(借入)したか推測できる記載もあります。

例えば銀行のATMなのか、提携先あるいはコンビニなどで借りたか?ということも推測はできるのです。

実際は記号などで表示されていますが、本人であれば意味を教えてくれます。

顧客保護の観点で、本人からの依頼には親切に対応する原則なので、記録の見方や内容がわからなければ質問してください。

なお、金融機関によって記録や対応が違いますのでご確認ください。

このように自分自身で証拠となるものを作ることもできます。逆に言えば自己責任なので自分で何とかしなければ誰も助けてくれないとも言えます。

また親と同居しているならすぐに別居するべきです。これも状況悪化を防ぐためと、精神的な余裕を持つために検討すべきだと思います。いろいろな意味で距離を開けた方が良いでしょう。

最後に、ひどい相手でも家族は家族です。どのような結末も、それがハッピーエンドになることはないでしょう。

法的に訴えるにせよ、自分で何とかするにせよ、やはり可能な限り話し合いをして少しでも悔いが残らないようにしてください。

この記事の執筆者情報

・加藤隆二/銀行員
地方銀行に30年間勤務する現役銀行員。FP技能士2級。融資渉外担当として事業資金調達の相談、個人住宅ローンやカードローンなど借入全般の相談、返済が困難な方からの相談にも対応。現在は融資契約書類の点検業務、不動産担保全般の書類点検などに従事。一人の銀行員として数多くのお客様と向き合い、お金にまつわるさまざまな相談に応えてきたことが自慢です。読者のために役に立つ文章を書いていきたいと思っています。