カードローンの申し込みで勤務先や勤続年数の嘘はバレる?
カードローンでは勤務先や勤続年数の嘘をつくとバレる?
銀行員としてお答えします。バレます!確実にバレます。
カードローン審査では、勤務先・勤続年数を確認するために在籍確認をします。在籍確認しないことを売りにしたカードローンもありますが、金利が高いなど条件が不利で、また返済できなくなった場合は、より厳しい対応が予想されます。
また、在籍確認しないはずなのに、実際はこっそり在籍確認をしている会社もあります。これは金融機関など金貸しにとって在籍確認は重要というなによりの証拠です。
この記事では、カードローンの申し込みで銀行が勤務先や勤続年数の嘘をどうやって見抜くのか?についてお話します。
これからお話しすることは審査の極秘事項であり、すべてを明かすことはできませんが、どれも当たり前のことばかりです。大事なことは、それに気がつくか、あるいはその情報をどのように分析するか、などのまさに銀行が蓄積してきたノウハウそのものなのです。ですから、悪用しないことを前提に読み進めていってください。
カードローンの勤務先や勤続年数の嘘は在籍確認でバレる
カードローンの在籍確認を厳密に行うのが銀行です。嘘には徹底的にこだわります。
在籍確認は事務的なのが消費者金融・ノンバンクです。嘘はそれほど気にしません。
在籍確認のスタンスが根本的に違うので、確認方法など基本的な流れも違っています。なぜ両者で違いがあるのか?これについては、「なぜ銀行はそこまで真実を求めるのか?まとめ」の項で詳しく説明します。
銀行カードローンの在籍確認の流れ
銀行カードローンの基本的な在籍確認の流れ。
- 電話をかける
- 銀行だと名乗る
- 在籍確認だと告げる
- 勤続年数の確認をする
銀行はハッキリと名乗ります。在籍確認だということも堂々といいます。(このあとの流れは事項で説明)
消費者金融系の在籍確認の流れ
消費者金融系カードローンの基本的な在籍確認の流れ。
- 電話をかける
- 個人名を名乗る
- 〇〇さんはいらっしゃいますか?と聞くだけ
- それで終わり
「〇〇はあいにく出かけております」と解答があれば、会社に在籍していることは確認できたのでこれでOKとなり、終わりです。
余談ですが、営業で自動車ディーラーの社員にカードローンを作ってくれと頼んだときのことです。
交換条件としてディーラーの、カードローン付きクレジットカードを作らされました。持ちつ持たれつで、良くあることです。銀行では『バーター取引』と呼んでいます。
その後、私の勤務する支店に個人から「(私)さんいますか?」と電話がありました。銀行では、外部から社員の情報を聞かれても絶対に答えません。お金を扱う会社として、社員の情報もセキュリティ面で教えることはないのです。
しかし、この時は、「いま車のローンを申込んでいて、(私)さんに頼まれた書類のことで聞きたいことがあるので」という内容だったそうです。お客様からの連絡だと思い、電話に出た人は「(私)は外出しておりますので、折り返し連絡をさせます。そちらのお電話番号は?」と答えました。すると相手は「かけ直しますから、折り返しはけっこうです」と番号を言わず電話を切ったそうです。
支店に戻った私には心当たりがなく、しばらくモヤモヤしていました。お客様との約束を忘れてしまったのでは?と心配でしたが、やはりどう考えても心当たりがありません。その後、その相手からは二度と連絡がなく、この時点で在籍確認だったことがわかりました。
これでも銀行員ですし、頼まれてカードを作ってあげたのに、まさか自分が在籍確認されるとは思ってもみませんでした。ちなみにこの時の上司はいい人で、結局笑い話ですみましたが、内心は冷や汗ものでした…。
銀行の在籍確認では会社の人事ではなく健康保険組合へ
私の銀行の場合ですが、在籍確認は会社や人事ではなく健康保険組合に電話します。
その理由はいくつかあります。
勤務先や人事ではなく、なぜ健康保険組合なのか?
- 勤務先に直接連絡、あるいは人事部に電話をしてもガードが固く、答えてくれない
- いくら銀行でも、勤務先にかけられると怪しまれる
- 勤務先の同僚などに本人が「口裏合わせ」を頼んでいる場合がある
このようにデメリットが多く、また実際に効果も望めないのです。
特に③は私の実体験です。嘘の口裏合わせがあったと分かっても、会社に文句をいうことはできません。デメリットが多く困難なので、健康保険組合に電話をするのです。
銀行が勤務先や勤続年数の嘘を見抜く方法
健康保険組合はどちらかといえば公的なところです。本人の承諾があるといえば、特に抵抗もなく、こちらの質問に答えてくれます。
健康保険組合から見れば、加盟する会社の社員についての情報なので、その答えがどういう結果を招くかなど考えません。
健康保険組合は、聞かれたことにイエスかノーで答えるだけです。(最初に在籍確認と聞いているので、嘘をつけば銀行と組合の両方にバレてしまいます)
勤務先の嘘がバレるケース
銀行:「こちらはX銀行です。在籍確認のため、ご連絡させていいただきました」
組合:「かしこまりました。では確認のため折り返し電話させていただきます」
組合から銀行への折り返しで、銀行からの在籍確認ということが伝わりました。
(以下へ続く↓)
- 銀行「〇〇さんは健康保険組合に加入していますか?」
- 組合「いいえ、〇〇というものは現在、加入しておりません」→勤務先確認は「×」
- 銀行「それは〇〇さんが退職されたということですか?」
- 組合「はい、そうです」or「これ以上のことは申し上げられません」
- 銀行「ありがとうございました」
これで勤務先の嘘がバレてしまいました。
組合はその人が加入しているか?の質問に答えただけです。在籍の有無を答えたことにはなりません。これが銀行が在籍確認をするテクニックのひとつです。
勤続年数の嘘がバレるケース
(導入は上記と同じです)
- 銀行「〇〇さんは組合に加入していますか?」
- 組合「はい、加入しています」
- 銀行「健康保険証の資格取得年月日は〇年〇月〇日で間違いありませんか」
- 組合「いいえ、違います」
- 銀行「ではいつですか?」
- 組合「はい、▲年▲月▲日です」
- 銀行「ありがとうございました」
これで、勤続年数の嘘がバレてしまいました。
健康保険証の資格取得年月日は、勤務先が加盟する健康保険組合に加入した日です。すなわち、その会社に入社した日ということになります。
まとめ
銀行は金貸しです。貸したお金は回収しなければなりません。お金を貸す以上、勤務先などに嘘があることは許されないのです。だから、確実性を求めて健康保険組合に在籍確認をします。
ちなみに、健康保険組合から勤務先に「今日、X銀行から在籍確認の電話があった」などと報告することはありません。在籍確認は件数も多く、いちいちそんなことをしていたら仕事にならないから、と保険組合の人に聞いたことがあります。
いっぽう消費者金融系のカードローンは、返せなくなることを想定しています。だから嘘は気にしません。在籍確認も、個人名で連絡して、その会社に居ることが分かればそれでOKです。勤続年数などを確認することはしません。
カードローンの申し込みで勤続年数などで嘘をついていたなら、ウソをついた事実を追い込むときの交渉に有利な材料とするだけです。